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コラム

第53回

「上海の光景」

ゴールデンウィークに、最近何かと話題の多い中国の上海に行ってきた。庶民の生活観溢れる歴史を感じる長屋空間の中に、インテリジェント高層ビルがいたるところにそびえ立っていた。街じゅう何処にいっても、工事中の高層ビルが目に入る。

外国列強の租界地として進化した街ならではの、異文化交流によって「ここは中国?」と疑ってしまうほど、建物をはじめ歩いている人達はファッショナブルで活気に溢れていた。

グッチ、ルイビトン、セリーヌといったブランドショップ、戸惑うほど多くの百貨店とファーストフード店をはじめとする新業態と古くからの業が重なり、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような彩りの街として目に映った。

中国の通貨は元(一元15円位)、一般の生活者が使う飯店と一部のリッチ層や観光客に対してのレストランでの価格が2重であるかのように感じられた。

2,000元(一月の給与)の携帯電話を上海に住む多くの人達は持ち歩き、日本のとんこつ味の「千束ラーメン」というチェーン店がいたるところに出店し賑わっていた。

また、地下鉄、バス、タクシーの交通インフラは整っており、街ゆく人々は携帯を片手に、大きな声で何やら話しているシーンは迫力を感じた。

「あなたは、何を買いに来たのですか?」とホテルのプールで連日出会った白髪のダンディな日系アメリカ人が、私に興味を持ったらしく、語りかけてきた。

今、上海の高層マンションをはじめ郊外のマンションは立てる前から完売する。買っている人達の多くは中国人とのこと。資産を持った中国の人達は、目一杯買えるだけのマンションを買って人に貸し、その賃料で比較的安いところを借りて暮らし、差額で生活し、そしてまた資産として残してゆく。借金を払う為の、人生設計はしない。

昨年11月にWTO加盟が決定し、GNPは世界7位で毎年8%の経済成長を遂げている。今後10年でアメリカに次ぐ世界第二位の貿易大国になることは確実だといわれている。

中国という市場は存在しない。それぞれの各地域が自立し、且つお互いに競争しながら独立経済活動を展開している。中国人社会に張り巡らされた「ネットワーク」を知らずしてビジネスは出来ない。日本人は、知り合いの知り合いは知らないという感覚だろうが、彼らは、本当に知り合いの知り合いは絆があり、いつでも連れていける人達である。

経済の中心である上海は、政治の中心の北京を自分の支配下にある地方都市くらいに思っている・・彼の時々おかしな日本語と英語の混じった内容の話は、充分なチャイナインパクトを私に与えてくれた。

今、世界で最も急成長を続ける中国・・日本のビジネスモデルを持ち込むのか!ユニクロモデルのように生産をここでするのか!強くなる中国とどう付き合うかが、判断をしなければならない。

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