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コラム

第178回

「ベストファーザー」

もうすぐ父の日がやってくる。父の日を始めたのはアメリカで、父子家庭の子供の願いがきっかけとされている。その後、1972年に正式な国の記念日となり、徐々に世界に広がって6月の第3日曜日は父の日と定着してきた気もしている。

1972年といえば、日本では、田中角栄氏が総理になった年である。あの頃の日本の父親像を思い浮かべると、現在のカッコいい育メンパパとの違いに時代の流れを感じてしまうが、どちらもお父さんに変わりはない。その父の日にちなみ、理想の父親を表彰するベストファーザー賞を見学する機会を頂いた。

日本の父の日は、1982年に紳士服関係の方を中心に、父の日の文化を普及するために委員会が設立され、キャンペーンの一環でこの授賞式が始まった。なんと38年も継続されている。米国では薔薇を贈る習慣だが、日本の父親への感謝は、黄色のリボンで表す。

なぜ黄色なのかというと、愛する人への思いや願いを表現し、また、色の持つ特性が、暖かさや、幸せ、希望というイメージがあり、黄色は、社会貢献への関心度が強い人が好む色と言われている事から、父の日の象徴として相応しいと考えられたようだ。

1982年といえば、あのバブル好景気の前兆から絶頂期を過ぎ、1991年の崩壊次期も、更には、あのリーマンショック期も乗り越えて、毎年、毎年素晴らしいお父さんを表彰し続けているのだ。まずは、その継続の力に驚き、かつ、歴代の受賞者を知り、更に驚いた。

そこには、大臣、財界人、有名俳優、役者、芸術、学術、スポーツ界の著名人のお名前があった。確かに、このような著名人が父親でいてくださったら、さぞかし幸福な日々を送れるのだろうと納得するお歴々である。

今年の受賞者も、市長、大学教授、書道家、俳優、プロサッカー選手の方々だった。他にも、ちびっ子が似顔絵で受賞したり、いくつかのテーマで数名の方々の表彰があったが、いずれも、父親への思いや、思い出が溢れて微笑ましく、家族仲良く気持ちが通じ合っている姿は見ていて気持ちが良かった。

それにしても、38年も同じ基準で選考するのは、中々大変だと思う。今後、生活スタイルや価値基準が変革していくと、規格外れのカップルやファミリーが増えていく気がしているからだ。血のつながりだけが家族では無い時代も来ているのである。

ともかくも、子供を無償の愛で慈しみ、育む事が出来る人ならば、理想の親と言えるのだ。もしかしたら、父だの母だのと分ける時代でもなくなっているかもしれない。しかし、やはり、父親という役割は大事である。絶対的な家族の安心の源なのである。理想の父親とは、その役割をキチンと全うしているかどうかである。

父の日とは、家族から、黄色のリボンが贈られるベストファーザーであるかどうか、自分を見つめなおす日でもあるのかもしれないね。

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