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コラム

第211回

「ハワイで、日本の未来を」

過日、久しぶりにハワイに行ってきました。
2月のハワイのホノルルの街は、抜けるような青空と青い海と様々な国の人々が集い、爽やかな風が流れていました。

ABCストアのペットボトルの水が1.5ドル(180円)で、街外れのベトナム料理店で人気のカニカレーが34ドル(4,080円)でした。円安によって、円の価値がかなり弱まったと感じました。

ハワイは1778年イギリスの探検家に発見されて以来、200年にわたり数奇な運命をたどり、日本にとってはアメリカに合併される30年前から20万人もの人々が移り住んだ地であり、太平洋戦争を始め深いかかわりを持つところです。

ホノルル美術館を訪ねた際、モネやピカソといった巨匠達のヨーロッパの絵画や装飾品、アジア各国の美術品、アメリカ、アフリカ、オセアニア、南北アメリカの伝統的な作品、そして、ハワイの素晴らしい美術品など、5万点以上がギャラリーにコレクションされており感動しました。
中でも日本のコレクションは、年代別の作品が数多く揃い、日本では見たことのない美しい浮世絵に心奪われました。

館内案内の方から、創設者のアナ・ライス・クック女史が、「ハワイに住む人々は多国籍、多民族に亘るので、それぞれの民族で受け継いだ文化遺産や、芸術を互いに共有し、ハワイ原住民と共に世界の芸術を認め合ったので、類のない美術館が出来上がった」と、よく語っていたと聞きました。

多様な民族の文化が交流し融合したことによって、ハワイ独自の新しい文化が生まれ、ハワイ全体がアートな街へと変貌したのだと思いました。

現在のハワイ州の経済は、砂糖キビやパイナップル農業から観光業へ産業が変化し、昨年は800万人の観光客が訪れ2兆円近い市場規模となり、4人に一人が観光業で働いていることを知りました。

ハワイ州の人口は、日本の青森県と同じ136万人です。経済規模は青森県の倍近く、GDP8兆4000億となり力強く成長しています。

日本は今、世界で類のない危機的な財政水準に陥り、年度末には借金が1100兆円を超え、国内総生産比が232%にまで膨らむと予測されています。
政府は、これまでも財政を健全化するといってきましたが、改善されることなく今日に至っています。企業経営では黒字にしなければ、借金は増え続けいずれ破たんしてしまいます。

日本は、これまで自動車産業を筆頭に輸出貿易産業を中心に成長し、円の価値を高め今日の豊かさを築いてきました。

2006年観光法が改正され、訪日外国人の旅行者を「2010年に1,000万人」とする目標を掲げてきましたが、昨年ようやく1,341万人に達し2兆1,000億円を超える消費総額との発表がありました。

ハワイで、街を歩く笑顔の人々と変貌したホノルルの風に吹かれ、これからの日本が富と雇用を創出していくには、日本古来の文化や遺産、医療、食、先端技術などの資源を活かしたツーリズムをインキュベーションし、オールジャパンで世界に誇るハイエンドな総合型観光立国にしてゆくことにあると思いました。

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