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コラム

第248回

「第四回 日本ベンチャー大賞 メルカリ」

2月22日ホテルニューオータニで、経済産業省とNBCの協賛による「日本ベンチャー大賞 内閣総理大臣賞」受賞セレモニーが開催され、会場は熱気に包まれました。

今回の「日本ベンチャー大賞」は、日本で唯一のユニコーン(未上場で、千億円規模の企業価値があるベンチャー企業)といわれるフリーマーケットアプリのメルカリが受賞しました。

日本発で世界に飛躍している「メルカリ」は、循環型社会の提案と消費者行動を変えていく目的で個人間取引のプラットフォーム事業を展開しており、日本で最も期待されるベンチャー企業ということが受賞理由でした。

リユース市場を席巻しているメルカリは、5年前の2013年に創業されたばかりのベンチャー企業です。創業の翌年に米国版をスタートさせ、2016年に84億円の資金を調達し、グローバル展開の拡大にアクセルを踏みました。イギリスでアプリをローンチし、アメリカに続く海外展開を広げています。アプリのダウンロード数は、昨年1億を突破し、わずか2年でその数は10倍に膨れ上がっています。

代表の山田さんは、学生時代に楽天でインターンを経験し、大学卒業後インターネットサービスの「ウノウ」を設立しました。その後、米国最大のソーシャルゲーム会社のジンガに買収され、メルカリ創業の原資を得るきっかけとなりました。エンジニアでもある山田さんは、買収されたジンガで取締役を務め、米国企業のサービスのプロデュースや運営の仕方、組織の組成や採用と目標管理などのマネジメントを学んでいます。メルカリの2人の取締役もゲームの会社を経営していた元エンジニア達です。

メルカリは上場基準に達していますが、彼らは上場企業になることよりも、世界中の誰もがメルカリを使い、車でも家でもなんでもメルカリでトレードでき、「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」ことを目指しています。

昨年、日本で84社の企業が上場しました。その多くは国内の市場を対象にしている企業で、時価総額が50億円に達していない企業が半数を超えています。上場すると多くの株主が存在し、短期の利益を求められ、世界で戦うシナリオをなかなか描けなくなっています。

メルカリが、今上場を急がず、世界で成功を目指していくには、そうした判断を受け入れてくれる投資家に株主になって欲しいと考えているのだと思います。こうした考え方は、メルカリだけでなく、海外のユニコーンにも共通しています。
現在、世界には200社近くのユニコーンが存在しているといわれています。ユニコーンに共通しているのは、「世界を変える」視座と戦略です。かつてユニコーンだったgoogleやfacebookや、現在のユニコーンといわれるUber、Airbnb、WeWorkなどは、世界を見据えた資本政策をとっています。

日本ベンチャー大賞を受賞したメルカリが、世界での勝者となって、日本の起業家のロールモデルとなることを期待したいと思います。

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