column

コラム

第164回

「雇用機会均等法」

男女雇用機会均等法は、1986年の施行から、1999年、2007年の改正法施行を経て、2014年、2018年と都度都度、問題になった事を重んじて改正されている。

差別を痛切に受け止めた方々の為に、人力を尽くされた運動家や政治家の皆さまの努力の賜物だ。結果、老若男女押しなべて、気持ちよく働ける社会になっているのであれば喜ばしい事だと思っている。

しかし、困るのは、言葉一つでも、セクハラだの何々ハラスメントと脅かされる事である。

なので、最近の経営者や幹部の方々に深い同情の念を覚えてしまう事もある。努力して幹部になっても、ふとした言動で底なし沼に落とされるという恐怖があるということだ。

先日も、ある上場企業の経営者のセクハラ&パワハラ問題を種に内紛が起きているという話を聞いた。当人同士の問題もさることながら、陰謀説等が飛び交うところも残念な話である。

制度で平等を確立しても、いろいろな問題は生じてくる。いずれにしろ、職場との相性が大事なのだが、もともと、性別や年齢や国籍に関わらず仕事ができる人はどこでも出来る。まずは、仕事に対する意識が違うのである。ただし、職場である以上、その能力を発揮できる場を提供するリーダーがいる場合である。そして、そういうリーダーが魅力を感じる発想力を持ち、胆力と人的魅力がある人こそが、真の経営者といってもおかしくはないと思う。

私の知る限りでしかないが、社員に慕われて、幸せな経営者人生を送られている方に共通しているのは、そういうリーダー達に敬愛されていて、次世代に向けた発想力のある人である。あえて、男女平等とか、雇用の均等とか声を高らかにせずとも、自然体で全ての社員の力を信じ、その家族を守っている経営者だ。

雇用均等の声をあげなくては、権利を主張できなかった方々にとっては、とても大事な法律だと思うし、その法律に忠実に社内の規律を守る事は当然だが、互いに信じ合い敬って、自然な形で仕事ができる会社がどんどん増えてくれることを願ってやまない。

先日、20年来の友人から、気の合う良い人ができたという嬉しい話を聞いた。生粋のキャリアウーマンで、引き抜きが絶えない逸材であるがゆえに、仕事に忙殺されているようで気になっていた女性の一人だ。

もちろん、お仕事は続ける。なにしろ彼女は今のお仕事が気に入っている。私からすると、本当はその会社の風土が合っているのだと思っている。つまりは、言うまでもなく平等な会社であるし、経営者を信頼しているのである。これからも、素敵な人生を過ごしてくれると思っている。

そいういえば、知人に「ったく、男らしくしたらどうよ!」と活を入れたつもりが、セクハラだと嬉しそうに指摘された。仕返しに、「あの人も年を考えたらいい」と話していたので「エイジハラスメントだ」と教えてあげた。

まあ、そんなあげつらう事が目的ではなく、きっと、均等法は、社内での意見を尊重しあい、事業の成果を皆で喜び合う事のできる会社が一社でも多くなってくれることを願って作られた法律なのだ。と改めて思う事にしたのである。

もちろん、思い込みだけれど。

コラムを毎月メルマガでご購読