column

コラム

第97回

「ぴんとこなの悩み」

ぴんとこない悩みではありません。ぴんとこなの悩みです。

「ぴんとこな」とは、歌舞伎用語で男前の事、ただ顔が綺麗な色男ではありません。ぴんとこなの条件は、もとは武士という由来がゆえに、男らしい強さがなければならないのです。

優男(やさおとこ)といわれる、顔が綺麗なだけの、根性はいま一つで、気が小さい男の人は、「つっころばし」というそうです。つっころばし…。つついたら転んでしまう、ひ弱なタイプ。少し、イラッときますね。

で、なんでこの話かと。会ったのですよ。ある方の誕生パーティーで。久しぶりに「ぴんとこな」に。

地域活性や土地開発のプロデュースをされている会社のH社長です。すかさず、隣席をせしめ、眼の保養をさせて頂きながら、以前からの疑問をぶつけました。子供のときから、悩みはあったのかと。毎日気分が良かったのではないかと。

ところが、人というのは面白いもので、人にはその人なりの悩みがあるものです。それは、期待に応えようと努力してしまう悩みなのです。贅沢な悩みですよね。でも考えてみたら、片時も気を抜けず、かっこいい自分を創造しなければならないわけです。

嫉妬されることも多いので、無駄な反感を買わないように、周囲に気を配ることも人一倍になる。その上、彼の場合は、勇猛果敢なお父様に現実逃避できない厳しい教育を受けた影響もあって、努力という、体も心も頭も時間も使って目標や解決に取り組むという事をやり続けたわけです。

すると当然、「そこそこ」の人より「どんどん」出来るようになる、ましてや抜群の容姿だから、特に目立つ、益々努力する。という素晴らしい循環ができたわけです。結果、社会に出てすぐに、大きな仕事を受注し起業されたとの事。その経緯を話される時も、好感度100%。

しかし、彼に大きな仕事の依頼が来るのは、難題な仕事も熱意と根性で克服してくれる人物だと、重鎮の方々に信頼される度量があるからだと思うのです。努力を続けた結果です。

「もう私も中年になりつつあるので、気持ちも体も緩くなりましたが、好きなことは続けたいので、衰えないように練習は欠かせません」と、たとえ趣味でも努力している事を正直に教えてくれました。

後日、パーティーの主催者の方と彼の話になり、男前談義に花が咲きました。やはり、ぴんとこなは、目立つことを避けられないようです。

コラムを毎月メルマガでご購読