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コラム

第93回

「セクシーな生き方」

新潟を、アントレプレナーが輩出されるインキュベーション起点にとの思いから、毎月一回、新潟に出かけ6年目を迎えた。

最近、何かと話題の多い新潟だが、中越震災に遭われた旅館の女将にお会いする機会があった。被害状況を伺っていると心痛む思いがしたが、一言も愚痴を言わず背筋を凛と伸ばして、生きていこうとしている姿勢に爽やかな感動を覚えた。

70歳になる女将から、先祖代々受け継がれた家訓の話を聞かせていただいた。
先代から「嘘をつかないこと。カッコをつけないこと。愚痴を言わないこと。いつも明るく笑顔で接すること。」ということを、毎日お経のように唱えられ学んだとのことであった。

「笑顔は、社員に希望を与え、笑顔に人が集う。嘘は、人の信頼を失う。見栄は、自分を苦しくし、人間を小さくしてしまう。愚痴を言うと、心が萎え、人が離れてゆく。ということなんですよ!」と優しく語りかけられた。

その後、町興しを考えている人たちを紹介いただき、地域に根ざして頑張っている人達にお会いさせていただいた。カネも学歴も英語もPCも離れた世界にいる人達は、メチャクチャ生き生きと輝いて、一人残らず格好よかった。

初対面にも関わらず、仮設のバラックの住まいに招かれ、郷土料理を振る舞っていただいた。皆さん、桁違いに優しくて温かった。彼等は、外国語のような方言で、堂々と自らを語り、人の話を体ごと受け止める。そして、周囲の目に支配されず、自分の心に聞いてすべてを決め、「意思決定」し、意見を言う姿に、「人間経営力」を感じた。

最近、急成長してきた新興ベンチャーが、突然失速するケースが目立つ。収益の源泉だった事業モデルの競争力の低下や、小手先の戦術で伸ばそうとした結果、環境変化に対応出来ない経営体質が、露呈している姿を見ていると寂しくなる。

何のために起業をし、誰のために頑張っているのか?「本来のあり方、生き方」を、見失っているような気がする。地域に根ざし、自分に嘘をつかず、見栄をはらず、人を愛して愚直に生きている新潟でお会いした方々のように、桁違いな優しさを持つ事ができると、失速しだした企業の経営者の笑顔が本物の笑顔に変わり、本当にセクシーな生き方ができるのだと思う。

私の周りには、極度の緊張感に耐える力と桁違いの優しさを併せ持った経営者の方々がいる。
彼らに共通しているのは、見栄を張らずに愚痴を言わず、思ったことを諦めず開放的に表現する。
そして、人を魅了するセクシーな笑顔を持っている。

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