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コラム

第229回

 お金の行方

私はお金が大好きだ。特に現金を見ると安心する。ただの金属と紙にも関わらず、とてつもない安心感に浸れるのである。

お金は全く必要ないという方がいらしたら、本当にいらしたら申し訳ないが物心ついた時から、お金は人を幸せにするとは限らないけれど、多くの不幸から救える事、仕事を成功に導くエネルギーであり、他人様への感謝や敬意を表すエッセンスであるのも認識していたので、お金は大事だと心から思っている。 

大事だからこそ、やむを得ないお金の旅立ちの際には別れを惜しみつつ見送ってきた。 

ところが、最近は現金との遭遇が薄れていっているせいか、お別れの思いが薄れている。 

銀行関連はネットで数字を動かすだけ、買い物はクレカに交通系カードやバーコード決済、なんならスマホで全て完結する。財布の中で現金を見る機会が激減している。 

時代だからね、仕方がないわよね。と諦めながらも、この先を考えてみたくなった。 

といっても凡庸で稚拙な思考の私ごときが考えても絵空事しか浮かばない。 

そんな時、本屋でふと目に止まった。「22世紀の資本主義」著者 成田悠輔 

おぉっ、こっ、これは、年寄りは集団でいなくなれ!と若者の声を思い切り代弁していた学者さん。類稀なる知的な人物ではないか。これは勉強になるかもしれなと思い手に取った。 

やはり、世の中を冷めてみている(ように見える)人は面白い事を考える。 

彼が著書の中でお金のない世界になりそうだけど、君たちはどう思う?と投げかけてくる。 

あの桁外れの思考をする異星人のようなイーロンマスク氏も、もうすぐAIが世の中の仕事を賄うようになれば人間は働かない、いや働く必要がないからお金も価値が無くなるとおっしゃっている。でわでわ、何を持ってして財産、いやなんと言うか、何かに交換できる信用できるもの?を持てばいいのか。 

成田氏曰く、招き猫(新型アルゴリズムの名前)のトークンは如何?という。内容は異なるが、随分前に海外ドラマでブラックミラーというのがあって、エピソードの一つに近未来の人間同士の価値基準はSNS上での他人の評価がもとになるというのを思い出した。いい事をしたら点数が増えるというので、人間はせっせと善人にならないと平和に暮らせないという物語だ。そういう性質のトークンに思えた。 

確かに、この世界、金融の仕組みは着実に変化している。既に中国のマネーアプリは、日本のルールをスルーして堂々と決済されているように今後世界中で独自の決済アプリが機能しだす可能性はいくらでもある。どんなに金融庁や税務当局が頑張って取り締まろうとしても新しいトークン(特定の権利や情報、価値を代替するデータや記号の総称)が作成されていく。そのうち、お金の持つ意味が徐々に薄れていくかもしれない。そして、いわゆる招き猫的トークンが日常に取り込まれる日も来るかもしれない。となると? 

未来は明るい、いい人でいれば生きていけるのである。お金の行方をあれこれ考える必要は無い。 

私は手遅れだけれども、これからまだ未来がある人は、頑張っていい人でいる為の修行をされたらいいのではないか。 

いい人を続けるのも、それなりの心的疲労と引き換えになるかもしれないが。 

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