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第336回

営業とは「語ること」ではなく「聴くことから、問題解決」すること

私がリクルートに営業職として入社した頃、その頃、社内には表現力が豊かで、押しの強い“プッシュ型”の営業の先輩がいた。勢いよく話し、相手をぐいぐい引っ張っていく。その姿に憧れながらも、「自分には真似できない」と感じていた。

当時の私は、営業とは「知識量」と「説明力」×「営業機会を増やす」こと思っていたが、どれだけ準備して、語っても相手にされず、受注に至らず業績は上がらなく、焦って相手との距離が開いていく感覚すらあった。

そんな時、デール・カーネギーの名著『人を動かす』に出会い、強い衝撃を受けた。「人を説得する最も確実な方法は、相手にできる限り話させ、自分で“思いつかせる”ことである」この言葉を読んだとき、「これまで、先輩を真似て“自分が話すこと”に終始していたのでは」と気づいた。

そして、自分の営業相手が、意志決定してくれる存在でないことに気づいた。

意思決定する人に、「話す営業」から「聴く営業」へ私の営業スタイルは大きく変わり、自分ならではのスタイルが身についた。

意思決定する人に会う・事前準備を徹底する・相手のことを深く調べる・“説明”ではなく、“質問”を考える・できる限り相手に寄り添い話してもらう・・・営業の場では、私が話す量を減らし、相手が話す量を増やした。相手は自分で課題に気づき、自身で「その解決策が必要だ」と考え始め、こちらの話を求め。

結果として、受注は自然に決まるようになった。気がつけば、営業同行を上司に求めずとも全国トップ営業のポジションを安定して獲れるようになった。

営業の本質は、「顧客は誰か」「顧客を深く知ること」。

この経験から、私なりに辿り着いた営業の本質は、顧客を定め、顧客のことをより深く知ること・そのために、事前準備を怠らないこと・相手の関心ごとに、誠実な関心を持って寄り添うこと。そして、相手の問題を解決をすること。

人は、自分の関心に耳を傾けてくれる人に好意を持つ。無意味な議論や、誤り・課題の指摘ではなく、「あなたをより深く理解したい」という姿勢が、信頼を生む。

「未来の景色を、共に描く」営業へと私は次第に、「相手を論破する」のではではなく、「未来を実現する提案営業」になった。相手を否定せず、認める。その上で、「思想を持って、これからどんな状態を目指したいのか」を共に考える。そして、その実現に、寄り添いながら提案することが、“営業の心得”になった。

人を動かす人は、実はとても少なく、一方的にしゃべり続け自己の欲望を満たす人は、一時的に優位に立てても、長く人心をつかむことはできない。

特に、

・自分の方が詳しい
・年齢や立場が上
・お金を払う側

こうした立場になるほど、相手の話を我慢して聴くことが「内心では共感できない」と感じてしまう人も多い。

しかし、にわか知識や先輩から聞いた話を浴びせ続けるほど、人は静かに離れていく。辛抱強く耳を傾ける忍耐力を持つ人は、実は経営者の中でも、決して多くない。

聴く人間力は、これからも変わらない大きな力だ。新人営業時代に、デール・カーネギーの「人を動かす原理原則から気づきは、私の仕事の根幹にある心構えだ。

問題解決とは、答えを教えることではなく、相手の中にある答えを、引き出すことにあり、話す力以上に、聴くことを静かに、粘り強く、相手の話に耳を傾け続けていきたいと思っている。

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