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コラム

第21回

「長崎屋 上山社長」

一流銀行の出世コースを惜しげもなく投げ出して、問題山積のベンチャー企業の代表を務め上げ、更に難関な解決を要望され、再生会社の代表取締役に就任された方がいらっしゃいます。更生会社長崎屋の上山社長です。

上山社長は、今から3年程前、37歳の若さで、異業種から、流通業界古参メンバーの中に、単身で参加された強靭な精神力の方ですが、物腰は静かで、奢らず、商売人としても、一人の人間としても、とても魅力的な方です。

しかし、いくら素晴らしい人格の方でも、歴史のある小売業の建て直しは、並大抵の事ではないと想像されます。お客様は、それぞれの立地に根付いた地元顧客、店舗のスタッフは、良くも悪くも、特性を知り尽くした熟練ばかり、そして、仕入先や各取引先に至っては、企業の成長と共に培った仲間意識の繋がりで保たれた慣習が残っていることを理解しなければなりません。

従って、こういう事業の再生は、変革と一言でいっても、限られた資金の有効活用に知恵を絞りながら、理屈でないモチベーションアップのマネージメントが必要になるはずです。個性もスキルも目的も目標も違う人達を、昨日までと、「同じ仕事」で意識変革しなければならないのです。

新しい分野の仕事にチャレンジするなら、支持系統の統一も図りやすいと思いますが、今までの仕事と全く同じ「地域のスーパー」としての業務でいながら、経営者が変わったことによって、何を、何処から変えようとするのかと思います。

その難しい事に、あえて挑戦された上山さんに心から敬服し、弊社は頼まれもしないのに折に触れ、目新しい情報や、知り合いの経営者を御紹介したりしています。ともかく、応援したくなる方なのです。

吉井は、上山さんに会うと、つい時間を忘れ話しこんでしまいます。人一倍努力して果敢な挑戦をされているのに、明るく快活にふるまう上山さんに心が動かされるのだと思います。

創業経営者は、好きな事をがむしゃらにやっても誰にも指図されない立ち位置にいます。継承者は創業者の魂を守りながら、成長する事、継続する事に注力すれば評価され、尊重されます。更生会社においての代表の任を背負った上山さんは、どうでしょう。株主の要望を解決し、債権者の心を戻し、既存の社員を守り、顧客に指示され、無事に再建するという神業をやってのけて、初めて評価されるのです。大変な役回りです。

時々、再建の経営者をやりたいと安易に語る方がいらっしゃいます。本気で上山さんのような志と根性で責任を取って頂けるならお願いしたいと思います。

最近《長崎屋の頑張り》がホームページ上にも現れていて、努力が伝わってきます。今は、このような、全社一丸の「一人一人の頑張り」こそが、長崎屋の復活のキーワードだと思います。毎日使うものは、何処でも買えますが、どこで買うかはユーザーの気持ち一つです。

その気持ちを掴むのは、現場のスタッフであり、そのスタッフを支える本部のチームワークにあるのだと思います。この連携を続けられ、ひとり一人のメンバーが輝き、御近所のお客様にとっても「長崎屋が今一押し!とりあえず、長崎屋」という人気のスーパーになられる事を期待しています。

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