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コラム

第65回

「お洒落に長生き」

西洋のホテルマンは、どんなに豪華な服やバッグを持っていても、足元が汚れている人は、品格が無い人と判断するらしい。

一方、日本には古くから「足元を見られた!」と口惜しがる言葉があるが、もともと足元をみていたのは街道の旅籠の人で、旅人の草鞋で疲労度を推し量り、宿代交渉の対象としていた事から、弱みに付け込まれるという意味になったようだ。和洋を問わず、足元には注意が必要だったのだ。

た、場所によって靴を考える気遣いも大事。自分の為というよりも、他人に違和感を与えない常識・気遣いが欲しい。お洒落とは、気が利くという意味が含まれているのだから。

お洒落は足元からというのは、靴に気を使うと、膝下、膝上、上着、髪型と自然と気になるので隙がなくなるという事らしい。若い男性で、超高級な靴を履く人もいるようだが、意識を高める意味でも、無理し過ぎなければいい事だと思っている。

一方、様々なファッションスタイルを楽しめる若い女性達は、TPOに合わせて、相当な数の履物が必要だ。そんな女性達の要望に応えようと、日本で最も多くの若い女性の為の靴ブランドを展開し、常に新たな商品開発に励んでいる会社がある。株式会社シンエイ、婦人靴メーカーとして60年の歴史を持つ有名企業だ。

数年前より、本社のショールームにお邪魔する機会が増えたのだが、その度に機能性を持ったおしゃれな靴が増えている事に驚いている。

レインシューズも、ウォーキングシューズも、歩きやすさや、防水性だけなく、ファッション性に富んでいるし、パンプスには、足が疲れない仕掛けが施してある等、進化に暇がない。聞けば、素材の開発から、加工技術の改善まで、それぞれのパーツのメーカーさんと共同で開発をされているとの話だった。

社員の方に商品の説明を求めると、「お客様に喜んで頂きたいので」「足が痛くならないように」「疲れにくく、綺麗にみえるように」「滑らないように」という言葉が、必ずついてくる。靴を履く女性の身になって、靴を履くときの姿勢や、状態まで想定されていたのも感心した。

そんな、靴を履く女性に優しい会社を経営されているのは、3代目を継がれた大野社長。大野氏は、お話上手な、お洒落で上品な紳士。お話しをしていると、自分が淑女になった気がしてくる。紳士とはこういう男性だと教えてくださるような方である。

シンエイの靴が上品で気遣いがあるのは、大野社長のように女性を淑女の気分にする精神が、組織に浸透しているからだと思う。

靴の販売は、色もサイズも揃えなければならない。場所もとるし、単価もそんなに高いものが頻繁に売れる訳でもない。流行に乗り遅れず、早すぎず、気候に応じた商品を予測して製造しなければならないが、少なすぎても、多すぎても商売に影響する。大変な手間と神経を使う商売だ。本当にお客様の事を考えていなければ続けられない。

その上、これからは、年齢を重ねた人が増えてくる。体力の衰えは仕方がないが、準じて膝の痛みや、腰の痛みを訴える方が多くなっている。サプリメントも大事だが、歩きやすい靴を履いて、楽しく歩いて予防する事も必要になっている。

シンエイも、歩く事で、体の歪みを直す靴を研究されている。歪みを無くす事で痛みから解放されるそうだ。これからも、シンエイスピリッツで開発される機能的でおしゃれな靴を、どんどん製造して頂いて、お洒落に長生きをする方を増やして頂きたいと思っている。

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