column

コラム

第48回

「商売の原点」

2010年5月、銀座中央通りには、海外の大物ファッションブランド店舗が、(またもや)オープンした。もう、殆どの大型店が進出しているので、昔の面影は消えていくが、個人的には便利な通りである。

様変わりしたのは、もう一つ。有名化粧品店や老舗百貨店の前に、海外からのお客様を乗せた大型バスが頻繁に横付けされているのも、今や銀座の日常風景となっている。

各店舗の販売スタッフさんも、近隣の会社にも様々な国籍のバイリンガルスタッフが増えている。流暢な日本語と英語が混合した会話を、エレベーターやエントランス等で聞くたびに、近い将来の日本を垣間見る気がしている。

今や、東京都内のあらゆる場所で海外の方の姿を見ない日は無い。もちろん都心部だけではなく、地方の風光明媚な名所旧跡も、工場地帯も、海や山のリゾート地も、諸外国の方々との生活が普通になりつつある。

それもこれも、神の仕業としか思えないインターネットのおかげで、私達は、いつでもどこでも誰とでも情報交換ができる。海外渡航も半世紀前に比べれば夢のように安易だ。人種や国籍の壁が低くなって当然ではないだろうか。

こんなご時勢に、国内だけを対象に物事を決定していく事は逆に難しい。勿論、どこの企業様も懸命に考えられて、それぞれが、戦略を練っておられると思う。しかし、中には、企業風土に変革を望まない組織は、その危機意識を持って進もうとする大事な芽を摘んでしまう事も見受けられる。

今は、株価を見て憂い、日本の政治の政策を嘆く前に、目の前にあるチャンスをどう生かすかを考えて、すぐできる事からやるしかない。

銀座の呉服店のベテラン女性が、海外のお客様向けにPOPを貼っていたので、言葉が堪能なのかと訊ねたら「しゃべれるわけが無い、電卓叩けばいいの」と返答され、大きな気付きを貰ったという話を聞いた。正に、これが商売人の真髄だと思う。まず、動く、その逞しさに頭が下がる。

ラオックスの羅社長は、大変スマートな方だが、この商売の真髄を感じる方だった。ご講演の節は、完璧な日本語で、日本での仕事の取り組みについてお話頂いたのだが、謙虚に真摯に、しかし媚びることなく、自分の思いと戦略を、明るい笑顔と共に語られて、多くの方に好感を持たれていた。

後日お邪魔した時は、自社の展望、課題、弊社への期待を完結にまとめながら、商売人として、ピンポイントで電動バイクのセールスもされるのだが、それが実に気持ちよかった。自社の製品を愛する心からのセールスだからだと思った。

海外の方も、情報技術が進んだ事で、欲しかった物が見つけやすくなった。知れば欲しいのはどこの国の人も同じだ。

その市場の広がりを敏感にキャッチした中国の企業により、ラオックスは再生し、新たな成長を始めた。秋葉原の都内最大級の免税店には、多くの海外からのお客様が見えていると聞いていたので、早速、その日に立ち寄った。

店頭では、着物姿の女性がチラシを配布している。飾り用の着物もディスプレイされている。せっかく来て頂いたお客様に、なにか楽しい事をしようと考えられたようだ。その女性達と写真を撮る方も多いと聞いた。慣れていない着物の着こなしに戸惑いも感じたが、まずは、実行して、お客様が楽しんでいる事実に感服した。

大型バスに沢山の買い物を積んでいるお客様を眺めているうちに、初めての海外で、取りつかれたように買い物に勤しんでいた自分の姿を重ねていた。

あの頃は、毎日が刺激的だった。ワープロで企画書を打てた時、お弁当箱のような携帯を初めて触った時、机一つ潰すほどのデスクトップのMACでも、凄く小さくなったと感動しながらインターネットとやらに繋いだとき、自社のホームページが出来た時、まさに感動の連続だった。

今や、もう感覚が麻痺して、技術の進歩に対しては、多少の事では刺激にならなくなっているが、久しぶりに商売の原点を見て刺激を受けた。これからも、商売の根を忘れることなく、国内外を問わずに、お客様の為を考えている新たなビジネスの芽を見逃さないようにしたいと思っている。

コラムを毎月メルマガでご購読