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コラム

第84回

「学問をすすめたい」

人は、生まれたときは平等である。しかし、学問をするかしないかで人生が変わるという有名すぎるくらいの書籍がある。

学問とは、知識を詰め込むことではなく、意思を持って、将来人の役に立つための事を実践して学び取ることなのだという。それを世のため人のために活用すれば、気持ちの良い人生を送る事ができるというのだ。

本を読む事も、買い物に出かけることも、趣味を持つことも、旅に出ることも、家事労働をしていても、全て自分次第で学べる。

私なりの解釈なのだが、文字、数字という道具を持った上で、社会の為に役立つ「事」を常に自分で考え、実践することが、学ぶということなのではないのだろうか。また、自分の意思を伝える力の背景にも、学力が必要だ。

それこそ本を読んだり、調べたりという裏づけが自信に繋がるからだが、その裏づけは、疑問があるから取るのである。何故、疑問に思うかというと、その疑問を見つけているからだ。

すなわち、学問が必要になる源は、興味、関心であり、それは、ものを観察することから始まる。物にも人にも、すべてに興味のない人間は、なにも発見できないので、本当の知識に結びつかない。なので、意思を伝える力にかけるのだと思う。

確かに、豊かに生きている人は、いくつになっても、子供のように純粋に、何にでも興味を持たれて、具体的に動かれる。

数日前、近い将来発電塗料が商品化されるというトピックスを見て、元シャープの副社長で、ソフトバンク孫さんの大恩人としても有名な、佐々木正氏を思い出した。

10年くらい前、当時も80歳半ばであったにもかかわらず、とても若々しく、輝く瞳で夢を語り、お弁当を食べながら仲間と議論をして、過密なスケジュールをこなされているのを目の当たりにしたことがある。

その時の会話で、「今、僕達が研究しているのは、画期的な発電だ。ナノ技術を活用して塗料で発電する。車の塗装に使えたら、環境にもいいし、すごく面白いでしょう?僕はそのために90歳でも起業しようと思っている、それも面白いでしょう?」と話されていた。

もちろん、素敵な話だとは思ったが、まさか現実になってきたとは、久しぶりに胸が熱くなった。10年前が、昨日の事のごとくつながった。

やはり、人は思った事はやり遂げられる。その発電塗料に、佐々木氏が直接かかわったかどうかはわからないが、佐々木氏は、全国的な技術者の交流を推進されている方なので、一つの流れを産んだのは確かだと信じている。

この事に触発されて、寿命という制限が無いかのごとくに、遠い将来への夢を追いかけている重鎮の方々の顔が浮かんだ。やはり学問を続けられている人々は、より楽しい人生を送り続けている。絶対に間違いない。

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