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コラム

第169回

「大内宿」

この夏、福島の大内宿を訪ねました。江戸時代を今に遺す奇跡といわれる大内宿は、会津若松と日光を結ぶ宿場町だった所です。

ひと筋の古街道の両脇に、草ぶき屋敷が、幾棟も幾棟も向き合わせて並んでいる景観は、そこに参勤交代の行列が歩いていてもおかしくない時空を感じる情緒あふれる村です。

大内宿で出逢った宿屋のおかみさんが、「震災以降、福島の風評被害で、ばったりとお客さんが来なくなってしまってね。悔しいよね。じっとしていてもしょうがないから、今、ほらインターネットがあるから、インターネットでお客さんに声かけて、泊まりに来てもらったり、アジアから仕入れた雑貨をインターネットで売ったりしてな、なんとかやってんのよ!」と、明るい笑顔で話をしてくれました

何故、大内宿だけが、江戸時代の宿場の景観をここまで残すことができたのか尋ねると、江戸時代からこの宿場の暮らしは、半宿半農でやってきたことが、宿場がすたれた明治後に幸いしたのだといいます。

そして、火事を出さない結束や、村人の絆による自立しながらも支え合う生活によって、今日まで変わらない景観を、皆で誇りを持って維持してきたとのことでした。

「お金では買えない私達の大切な居場所は、自分達で守らなければ、誰も守ってくれんからね!」と、語った宿屋のおかみさんの言葉に、力強い決意を感じました。

自分達の守りたい大切な形を、村人の絆の力によって、環境変化に適応し、イノベーションしてきた大内宿の村民の姿は、混迷を極める現代の人々の生き方に示唆を与えてくれる気がしました。

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