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コラム

第79回

「挑戦者たちの言葉」

今年の5月、オーストラリアでGlow Wormsといわれている、土蛍を見た!真っ暗な洞穴の天井に、妖しく光る無数の光は、夜空に輝く満天の星を見ているように美しく、神秘的な土蛍が放つ光は、子供の頃見た虹の様にも思えた。

過日、国際人の集まる会で「オーストラリアで見た、Glow Wormsが7色の虹の様に思えた」と話すと、面白いことに、アメリカ人は、虹は6色だと、中国人は5色、だと言ってきた。

そして、それを聞いたベンチャーの社長が「虹は、24色ある」と、語気を強めて言い放った! 私には、虹の色が国によって違うわけでなく、目に映る視力の問題でもなく、虹を見つめる感性や、先入観・固定概念や考えが「言葉」によって縛られているから、こういった表現となったと思えた。

「昔からこういうものだ。これが当たり前のやり方」と云う固定概念が、発想やプレゼンテーションを表層的なものにしてしまっていることがある。

以前、ソフトバンクの孫さんがナスダックジャパンの立ち上げパーティの際、会場に集った人々に語った「新興市場のもたらす未来の姿」のスピーチは、輝きに満ちた素晴らしい内容であった。

今も、私の脳裏に強烈に残っている。孫さんは、よく「脳みそは筋肉であり、歴史に名を残した偉大な発明家や芸術家達は、脳がちぎれるほど考え、それを言語やアートで表現する。」と、口にする。

時代をリードする経営者たちが、志を持って一つの事を表現する時、固定概念のない多面的な色合いを持った表現は、人の心の奥に伝わり、感動させる力が宿る。 起業家達と芸術家達の話がおもしろいのは、まず固定概念が無い事である。

起業家は、未来のビジョンを自らの想いで新しいデザインを描き、言語や理論を加え、周囲の人たちに感動を与える。芸術家の原動力も、無から有を生む事に、自ら感動し、あとはそれをアートとしていかに表現し伝えるかにある。

企業の変革に最も必要な事は、固定概念に囚われず、今を見据えて、自分を信じてチャレンジしていった創業者の魂をもう一度呼び起こすことだと思う。起業家のDNAには、必ずその基になる精神が「言葉」となって宿っている。

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