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コラム

第78回

「出島」 

「前例がない。なんとなくリスクが、高いような気がする、難しいよ!」既存企業で、新事業を生み出そうとする時、提案者に対し、よく役員や責任者から、出てくる言葉である。

オールドエコノミー企業における新規ビジネス会話は、「否定」から始まることが多い。その部門の役員が決断を下す際、責任が付きまとうから、「NO」といっていた方が無難なのである。

経営陣は、可能性のある芽を潰さない為に、もっと外を歩き柔らかい目で、答えが自分の中にあるのではなく、他人(ひと)の中か、街の中にしかない判断の目を養えることに気づいてもらいたい。起業家の多くは、異能な狂人といわれる。こういった人材はなかなか、社内では育ちにくい。

なぜなら、起業したことのない管理者が、新規事業の判断をするケースが多いからである。また、リスクを取りたがらなく、そういった人材を、排除したがる傾向にある。

私は、そういった現状を避けるために、「出島インキュベーション」と称して、企業内アタッカーを社外に出し、プロセスで邪魔されない独立環境を創り、マーケット向いた事業開発をメソッドにして、起業支援を行っている。

企業内起業の第一歩は、個人が、強い意志を持って「こんなことをやりたい!!」と思うことからスタートする。そして、企業内で起業を試むには、まずはアイディアの種を、「誰に、何を、どのように・・」と、夢を紙におとしてみることだ。

種を育てるには、強烈な思いを持って、行動に移すことが肝要だ。答えはマーケットにあり、ネット検索、資料をよむ、本を集める、人に会って、聞きまくり、とにかくなんでもできることはやってみる。

そして、人に、自分の思いを、一枚の企画書にして、ぶつけてみることである。
「これは、こうで無理だと・・そんなこといったってこれは、どうするの?」と、否定の連続トークが必ず出てくる。

これは、貴重な情報であり、指摘に対し「では、こうしたら・・」の発想で、企画に一つひとつ落としてゆくと、英知が取り込まれ、生命を持つ事業企画案が出来上がる。 そして、新規事業の意志決定責任者にプレゼンテーションし、コンセンサスを取ったら、役員の顔や声の届かない「出島」に出て、起業に望むことが企業内起業の成功に向けての一歩となる。

 過去、プラスの岩田さんという方が、「アスクル」を・・、イトーヨーカ堂の鈴木さんが、「セブンイレブン」を・・富士通の稲葉さんが「ファナック」を起業し、素晴らしい企業を育てた。その背景に、共通して「出島」に出て起業していた。

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