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コラム

第84回

「目に見えない世界の訪れ…」

新年新心

今年、日本人の平均年齢が、いよいよ50歳時代を迎える。歴史的にも世界の各国にもこれまでになかった平均年齢を迎えた象徴的な年といえる。そして、今日の環境は、生活の隅々までがデジタル化、サイバー化され、これまでの古い秩序や体系が崩壊し、社会全体が新しい社会へとますます大きく変貌してきている。

昨年、象徴的な出来事の一つとして、楽天の三木谷さんをはじめ、1995年以降誕生した新興企業の経営者達が、球団業界の古い体質に対し、外からインパクトを与えた。しがらみのない、新たに出現してきたリーダーが、素早い意志決定で、様々な業界で変革を起こし始めている。

ここ最近、当社に、各界を代表するエスタブリッシュメント企業から、「新たなビジネス機会の到来を理解し、そこに参加しようと考えているが、なかなかうまく立ち上がらないのでどうしたらいいのか?」との新規事業の立ち上げに関する相談が増えてきている。

話をよく聞いていくと、例えば「既存の事業で現在、利益が出ており、今やっている事業を新たなビジネスモデルで対応すれば、既存事業を脅かすことになり、また、多くの人材がいらなくなることになりかねない。」といった「内なる組織の壁」が、新規の芽や苗を育てない原因になっていることが多い。

その結果、前年対比の数値を上げることに経営陣の意識が向き、既存事業を脅かさない、新たな名前を変えた事業名の組織や管理職を増やし、マーケットに向き合っていない膨張した組織に陥るケースが多い。一方、ここ最近、専門分野に特化し、新たなビジネスモデルで、急速に成長している豆腐「三代目茂蔵」の篠崎屋が上場し、業界に大きなインパクトを与えている。

また、価格ドットコムが、葬儀関連の価格比較を行い、やはり、業界に大きな波紋を投げかけている。いずれも、これまでのしがらみのない起業家たちが、新たな勢力となってきている。何でも与えられて売ってきた業界の大手企業の多くは苦戦し、新旧交代の時代にいよいよ拍車がかかってきた。

50歳平均年齢、サイバー社会、温暖化環境変化、グローバル化、個々人にとっては、ピンと来ないことと思えるが、確実に目に見えない潮流の渦中に私たちは、今、位置している。この新たな世界の訪れは、横並びでない個々人の格差を生み出し、企業においては、昨年2,200件M6Aが行われたように、サバイバル競争にさらされる。

2005年に輝きを放つ人は、新世界での新たな「掟」を、見つけることができた人であろう。

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