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コラム

第198回

「プロフェッショナル経営者」

昨年末、元日本コカコーラ社長の魚谷氏が、資生堂の再建社長として今年4月に就任するとの発表がありました。

資生堂といえば、日本を代表する化粧品メーカーの優良企業です。
2011年4月、52歳で就任した期待の社長が2年で突然降板し、前田会長が再登板する人事は異例でしたが、今年、140年の歴史の資生堂で、外部から社長を迎え再生を託すことになりました。

以前、日本電産の永守さんに企業再建の話しを伺った際、「誰が再生にあたるかで大半が決まる。再建の成否は3年を目安にしている。売り上げ増、黒字化などは、3年程でメドがつく企業でなければやらない。グループ会社にすべきか、短時間で判断する。今後の事業に陳腐化しない技術をもっているかを見極める。不振企業の社員は、給料分も働いていない。

社員に『赤字は悪だ』と、徹底的に意識改革を求め、1~2年で変わる。これまでデフレの上に過当競争。オーバーサプライ(供給過剰)が続けば、健全な企業も国際競争力を失う。再生にはスピードが問われ、企業は生鮮食品のようなもので、立て直すなら早いほどいい。こういったことを理解し、実践できるプロフェッショナル経営者で、再生の成否が決まる」と、永守さんの考えが強く印象に残りました。

日本には、名経営者は多く存在しています。しかし、現在の日本の経営者の多くは、年功序列組織の中で、上から引き立てられて社長になった方々です。
こういった経営者は、前任の社長の決定を覆すと、永年仕えた主君を否定し、裏切ることになると考え、大胆な企業変革ができないまま任期を迎えてしまっています。

産業構造変化のスピードが速まり、「伝統の承継」では、会社が立ち行かない時代です。
一過性の帳尻合わせのV字快復ではなく、事業再生をアラウンドする、「経営のプロフェッショナル」として、魚谷氏が今後どう資生堂の経営を立て直してゆくか注目してゆきたいと思います。

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