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コラム

第218回

「エリートたちの起業」

過日、東大の大学院を卒業し、ベンチャー企業を創業した起業家と出逢いました。

 2年前、ITの最新技術を活かし大手企業と共創していくビジネス計画に、エンジェル投資家から一億の資本を得て起業し、今年5,000万の利益が出ると目を輝かせて語ってくれました。

1990年代、シリコンバレーで多くのベンチャー企業が急成長した時代がありました。
この背景には、大学で最先端の技術を学び、意欲とアイディアはあるが資金がなく起業機会がなかった若者たちに、富を得たエンジェルといわれるかつての起業家による投資や、インキュベーターの支援によって多くの起業家が誕生しました。

その後、ベンチャー起業家達によるニュービジネスで、新たな就業の60%の雇用が生まれたといわれています。

株式投資を得た起業家は有限責任なので、失敗しても債務を背負うことはありません。何度も起業に挑戦できます。こういった風土や生態系の仕組みが、多くの起業家が生まれる要因となって、ベンチャー企業の勃興の時代を迎えました。

この頃、日本では資金調達は銀行からの個人補償を伴う間接金融に限られ、経験のない個人や、失敗歴のある顧客は資金を得ることが難しい状況下にありました。 
また、運よく貸与された資金は、失敗すれば多額の借金を背負うことになり、次のチャレンジはできない起業家が大半でした。

日本は、先祖伝来の家業や中小企業の多い国ですが、ここ数年上場し富を得た起業家が、起業を目指す若者達に投資する流れが広がっています。
1社当りの投資額も1億円を超え、潤沢な資金を得てスタートアップするベンチャー企業が増えています。

産業構造の変化によって事業機会が生まれ、東大生をはじめとするエリート達が、「大志」を抱き挑戦する起業社会を実現してゆきたいものです。

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