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コラム

第133回

「おばさんになる時、おじさんになる時」

おばさんは、経済効果をあげる力を持っているという経済学教授がいらっしゃる。おばさんは、常に効率を考え、合理的に判断し、並外れた交渉力を持つ。結果、最小限の労力で仕事をこなす技量があるというのである。

確かに、電車の席の隙間や、試着のスペースを探せるのも、常に値段交渉をして上手な買い物が出来るのも、だれかれとなく苦言を呈しても憎まれにくいのも能力である。

それを活かす職業が沢山あるらしい。おばちゃんだからこそ、可能な仕事が沢山。

ちなみに、おばさんになる時とは、見かけにかけるコストにメリットが見合わないと合理的な判断を自分で下し、最小限にコストを抑えるようになった時のことらしい。

つまり、おばさんは、見た目なんか気にしないということで、見た目を気にしなければ、周りの空気も気にしない。この空気を読まない。いや、読んでもなお、我が道を行くことこそおばさん現象である。「だからなんだっていうのよ!」というくだりである。

図々しいとか、お節介とか、うっとおしいとか、声がうるさいとか、なんといわれようが、気にしないのである。自分が正しいと思った道を行くのだ。ちなみに、おじさんの場合は、自己判断でなるというよりも、自分の欲求と見た目の差で、周囲からオジサン扱いされる度合が決まるという。

何故なら、男性ホルモンは年代を経ても落ちて行かないのに、容姿が老けていくと、その差で、オジサン度が増すらしい。

それを埋めるためには、おじさんやおっちゃんではなく、叔父様と呼ばれるダンディなスタイルを保つか、遊び人風で男性的な魅力を保つか、もしくは逆に知的な雰囲気で少し枯れた男の魅力を出す等の努力を怠らないようにするしかない。まあ、お金はかかるね。

おじさんの経済貢献に男性的魅力維持へのコストも足された方がいいのかもしれない。

その点、やはり、若い人は幸せである。若いって素晴らしい。老けない努力にかけるコストなどいらない。なんといっても、若い人の語る未来は信憑性がある。

最近、27歳のITベンチャー起業家が将来故郷を活性化したいとか、世界に向けて社会貢献したいとか、熱意を持って語る姿を拝見した。実に頼もしい限りで、話を聞いているだけでも楽しくなってしまった。

夢はいい。大きければ大きいほどわくわくする。そして、思ったのだ。もしかして、おじさん、おばさんになるのは、外見も避けられないが、心理的な要素が大きいのではないかと。見た目は、おじさんおばさんでも、未来を語って、何かをやろうとしている人は、世間的に言われるおばさんとかおじさんとかではなく、夢を語る人として、その職業や信念でその方を見るものではないかと。

見た目に負けない夢を持たなければ、死ぬまで夢を持たなければ、老後は戦えないのである。長寿は悪夢だ等と言われる時代になった今こそ、老いと戦う武器は夢なのではないかと、「よし、私も夢をあきらめない」と、若者相手に勝手に競争心を燃やしてしまったのである。こういうところも、おばさんなんだろうなぁ。

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