column

コラム

第238回

「シリコンバレー」

GWにサンフランシスコ・シリコンバレーに、行ってきました。
名称の起源は、半導体(原料silicon)メーカーが集まる場所と渓谷(valley)という地形に由来しています。

現在ではIT企業の一大拠点となり、AppleやGoogleといった世界の時価総額ランキングの上位企業が誕生したエリアの総称となっています。
世界一の時価総額90兆円のApple、それに次ぐAlphabet(Google)やFacebook社に行きましたが、創業者の思想がキャンパスやオフィスに投影され、街を巻き込む圧倒的なスケールに刺激を受けました。

ヒューレットパッカードのガレージが発祥とされるシリコンバレーは、スタンフォード大学を中心に優れた「研究」、豊富な「資金投資」、そして何よりも世界中から「起業家」が集い、「ビジネス機会」が創造される風土とエコシステムが織りなしています。

Google創業者セルゲイ・ブリンは旧ソ連、yahoo創業者のジェリー・ヤンは台湾、Tesla Motors会長のイーロンマスクは南アフリカ出身であり、多国籍国家の英知が集まる場所であることを改めて感じました。

現地の起業家専用のシェアハウス(Startup embassy)には、スペイン、メキシコ、オーストラリア、トルコなど世界中から夢を持った起業家が集まり、昼夜問わず語らう場がありました。私が日本のインキュベーターであることを伝えると、自己紹介の会話を寸断して、すぐさま「私のサービスは、可能性があるか?」と意見を求められました。

2000年前半にはインキュベーション施設が次々に設けられ、世界を驚かす事業アイディアを育てようという風土や仕組みが加速しました。
そのうちの一つであるPlug and Play tech Centerに、訪問しました。
2006年に開設し、35億ドルのファンドを持ち、350程のスタートアップ支援をしています。

年間100以上ものイベント開催によりネットワーク形成の機会が豊富にあります。視察団も毎日のように訪れており、非常にOPENで人の出入りが自由になっています。

昨今の傾向に反し、特にセキュリティ対策がないOPENな点が際立っていました。投資を受けた企業は壁に貼られ、表彰される仕組みになっています。注目される点は、出資を受けた企業、IPOした企業と同様にバイアウトした企業も称賛されている点であり、3年程度でExitするケースが多いとのことでした。

過去のインキュベーション施設は、箱型のワーキングスペースをとりあえず創る傾向があったように見受けられましたが、ここでは以前より、投資家に向けたピッチイベント、起業家と投資家の交流イベントが盛んにおこなわれています。

近年では、短期間のアクセラレーションプログラムでプロダクトを創りこみする合宿形式が成功しています。人材交流の中から自然発生的に人を採用するケースも多いようですが、これからはインキュベーション施設と共にインキュベーターによる人材マッチング機能がより重要視されると思いました。

今回の渡米では、スマートフォンで、Airbnbで空き部屋に泊まり、Google mapとUberで見知らぬ土地でも効率的に移動することが出来ました。 
Facebookで現地の起業家と連絡を取り合い、新たな繋がりが生まれました。
改めて確認してみると、これらのサービスの大半が、驚いたことにこのSilicon Valleyで生まれ育った企業でした。

また、Silicon Valleyの中心にあるスタンフォード大学は、世界で2番目に大きい広大なキャンパスで、一日では周りきれないスケールの大きさに圧倒されました。        
ナイキ創始者のフィリップ・ナイト、HP創始者のヒューレットとパッカード、Google創始者のセルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジ、yahoo創始者のジェリー・ヤン、デビッド・ファイロ、GAP創始者のドリス・フィッシャーなど、数多くの起業家を輩出しています。

大学と産業、VC、インキュベーターの共創によって大きなイノベーションを起こし続けるSilicon Valleyのように、日本型TLOを始めとする産学の起業エコシステムを強化し、より多くの起業創出に寄与していきたいと思いました。

コラムを毎月メルマガでご購読