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コラム

第1回

伯楽

私の会社の部屋には「伯楽(はくらく)」を描いた一枚の絵が飾られている。中国を旅した際に偶然出会い、その力強さに魅了されて持ち帰ったものだ。

伯楽とは、中国の故事に登場する人物で、「千里馬」を見抜く名人として知られている。どれほど優れた馬であっても、その価値を見抜く人がいなければ才能は埋もれてしまう。そこから転じて、優れた人材や可能性を発掘する人物を「伯楽」と呼ぶようになった。

以前、私の親しいベンチャーキャピタリストが10年近く北海道に拠点を置いて活動していた。その時期、北海道からは次々と有望なスタートアップが生まれ、「北海道はスタートアップのメッカ」とまで言われた。しかし彼が地域を離れた後、その勢いは目に見えて弱まった。もちろん偶然の要素もあるだろうが、私は単なる偶然ではないと思っている。

地方には、都会にはない豊かな資源や文化、人材が眠っている。しかし、それらは見出され、磨かれなければ価値として花開かない。地域の強みを生かした起業や新規事業こそが、その地域ならではの競争優位性を生み出す源泉になる。

私たちの会社は現在、地方の有力な中堅・中核企業とともに、地域に眠る資源や人材を活用しながら、企業内起業や新規事業の創出をインキュベーション支援している。地域企業の経営基盤を活かしたエコシステムを築き、新たな産業と雇用を生み出すことが、これからの地方創生の重要な道筋の一つだと考えている。

未来の地方創生は、企業と起業家の挑戦から始まる。その中で、眠れる千里馬を見出す「伯楽」のような役割を果たすことができれば、これ以上の喜びはない。

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