column

コラム

第179回

「箸置きの効果」

仕事人間と自負していた頃は、食事の大半は軽食やスナックで小腹を補い、家庭での食事に至っても、そそくさと食べるので、来客でもないかぎり箸置きなんぞを使った記憶がない。

「箸置きの効果」

ところが、最近、知人の言葉をきっかけに、箸置きを使うようになったのだが、この箸置き、あるいはカトラリーレフトは重要なものだと気が付いた。

マットやナプキンの上に箸置きを最初に置くだけで、食事に対する姿勢が変わる。
漬物であろうが、総菜であろうが、調味料でさえ、きちんと器に盛りたくなる。
なんにしても、大した料理でなくとも、なんだかご馳走にみえるのである。
 

そして、箸を置く場があると、ゆっくりと食す気分になる。

日本の箸文化は、中国から伝わったと聞いている。その前は、主に手で食べていたようだ。
しかし、徐々に知恵がついて、今のような豊富な種類の箸ができあがった。
箸が伝わる前は、神様にお供えする物の道具としてトングのようなものがあったようだが、今のような棒で挟むというスタイルになったのは、6世紀の半ば頃らしい。
いずれにしろ、すごぉーく昔の事なので、日本をお箸の国といっても間違いではない。
なにしろ日本は、料理も食事も徹底して箸を使う。
それに、箸の種類も多い。
そして、箸を使った表現も多々ある。

箸が転んでも可笑しい年頃
箸が進む(食が進む)
箸にも棒にも掛からない
箸より重いものを持たない、とか。
無作法を戒める言葉としても、
迷い箸 料理の上で、食べものを選んで箸を動かすこと。
刺し箸 料理に箸をつきさして食べること。
そら箸 食べ物を箸でとったが食べずに元にもどすこと。
探り箸 箸で好きなものを探り出す。
持ち箸 箸と食器を同じ手で持つこと、とか。
 

「箸置きの効果」

このように、箸とは、和の魂の一つであり、その魂を尊重するのが箸置きなのである。 前置きが長くなったが、箸置きのある食卓は、心が豊かになると、言いたいのである。
それは、食事を頂くことへの感謝の表れでもあるからだ。

人生というものは、その人の持っている徳で進むものだと思い知らされているのだが、その徳は、感謝して物を食す事でも積んでいけるものだ。

なんだか、心が忙しいと感じた方は、箸置きを置いて食卓をつくってみよう。

自分がどんな人かわかるかも。

コラムを毎月メルマガでご購読