第1回
5Aサイクルで成功を掴む:経営戦略の問題解決アプローチとイノベーションの秘訣
一握りの成功した経営者に共通する思考サイクルがある。
5つのキーワードの頭文字をとって「5Aサイクル」と呼ぶ。
このプロセスを、何度も何度も試行錯誤し、循環させている。
5つのキーワードの説明は以下の通りである。
目次
① 市場機会の「認知(Awareness)」
日常の中のささいな「不」を発見し、問題を認知することにある。何気ない生活やビジネスで発見できるかどうかだ。
そのためには五感で顧客の「不」を自分自身で感じ取る観察力、洞察力を持ち合わせ、当事者意識でビジネス機会を意識して行動することだ。
② 問題解決への異なる「アプローチ(Approach)」
新しい価値を発想するためのまったく異なるアプローチを組み合わせて、従来の方法では解決できなかった問題を、新たな視点で見直すことだ。
同じ問題、同じアイデアでも、視点を変えるだけではなく、異なる世界にヒントを見つけたり、アイデアを転用、借用したりすることで、イノベーションを起こすことができる。
③「実行(Action)」
荒削りでも、経験の乏しい領域だったとしても、誰よりも早く実行し、結果を得ることだ。
より早く成功したいのであれば、許容できる失敗を誰よりも早く、なるべくたくさんすることが大事だ。
実行により得られるデータの有益性は何にも勝り、次のプロセスで生かすことができるのだ。
④「分析(Analysis)」
自分の仮説や実行結果をあらゆる視点で観察し、予測との違いに着目することだ。
結果を見る場合には損益計算書や、売上報告などの単なる数字の塊からでは見えてこない、顧客のニーズを把握することが重要だ。
また、実行結果が思いもよらない低い数字、低い効果、低い反響でも「想定していなかったもの」がどれだけ発見できたかもイノベーションには欠かせない結果の一つだ。
⑤「適応(Adjustment)」
経営環境が激変している今、顧客ニーズに合わせて自分自身、そして提供するサービスをスピーディーに、大胆に進化させることだ。
タイミングよく軌道修正ができた企業は次の時代にも生き残るが、変化を拒み適応スピードが遅いと存続できない。
重要なのは、「過去のしがらみ」で判断を誤足らず、事業をしっかりと見える化し、市場が望む方向へ適応させる勇気を持ち、挑戦することだ。
最も大事なこと:「理念(Ideal)・パーパス」
そして5Aサイクルの中心は、言うまでもなく「理念(Ideal)・パーパス」である。
「5Aサイクル」を何度も高速回転させるときに、遠心力でフラフラしないようなブレない軸が重要であり、その理念・purposeとは顧客への高い価値提供と利益の追求のことをいう。
理念・purposeを中心に添えて、「5A」を何度も循環させながら、より高い顧客価領を、ほかに真似できない方法でしつこく提供していく。
それがイノベーションを起こし、世の中に新しい価値を生み出していく。