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コラム

第43回

「主婦の友」

主婦の友という雑誌が休刊される事になった。創刊が大正5年のはずなので92年になる。92年も続いた雑誌、戦前、戦中、戦後を駆け抜けた日本の女性の為の雑誌が休刊となる。

理由を聞いて納得した。「主婦」という言語がすでに古く、興味に欠けるのだそうだ。家庭、家族を守る中心の主婦が、魅力的でないということなのだろうか。

ありとあらゆる知恵を使って、できる範囲でやりくりし、温かい家庭の空間を創造して、毎朝夫や子供を送り出し、帰宅した家族の疲れを癒し、親類縁者との交流、行事の仕切り、ご近所、学校関係のお付合いを上手にこなし、子供を立派に育て上げ、威風堂々と老後を楽しまれている本物の主婦に出会うと感動を覚えるのは、私だけなのだろうか。

そういう最強の主婦の参考書がこの主婦の友であったように思う。

しかし、最近は、購買客が激減し、今回の休刊という結論を得たそうだ。今、女性に受けている雑誌は、強くて、賢く、いつまでも若く、仕事を持ち、財テクにたけ、家事や子育ても、自分を中心に有効な時間をつくる事を基本に構成された参考書のようである。

そういえば、こういう、行動的な、現代の主婦層の働く意欲を上手に活用している会社が増えている気がしている。

インターネットや携帯を活用した、時間的にも無理の無い仕事を家庭で、子育てや介護に時間を取られている主婦でも、自由に仕事ができるという仕組みを持つ企業だ。
ミステリーショッパーという店舗の調査の会社。
全国にフリーマガジンを配布している会社。
ネットでリサーチをかけている会社。
設計関連のアウトソーシングをしている会社。
空いている時間活用の、家事手伝いの派遣会社。等、かなりの企業が浮かんでくる。

鎖国がなくなり、海外の文化に触れはじめてから、服装や思想に変化が訪れ、多くの犠牲を払った幾多の戦争が終了して、60年程前に、アメリカの考え方を主体にした教育が始まった。いつしか、日本の女性のライフスタイルは、欧米の女性の生き方が基準になっていったように思う。

私が、幼い頃に見ていた、米国のテレビドラマに出てくるキャリアウーマンが働いているシーンと、良く似た場面に遭遇する事も増えた。

90年続いた雑誌の休刊の感傷にひたりながら、改めて気がついた。たったの、90年でこんなに変わったという事は、これから、90年後の女性の生き方は、どういう変化が起きているのだろうか。
どんな時代でも、家族の要の主婦という言語は残っていて欲しいと思う。

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