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コラム

第105回

「余暇事業」

人生には遊びが必要だ。ホルモンの分泌も促すし、遊びも極めれば、自信につなげられるかもしれないではないか。孔子の教えにも、芸で遊ぶというくだりがあるくらいだ。

芸で遊ぶとは、一つの文化を追及して得た技術や技能や教養を覚えるだけでなく自由に使って(遊ぶ)ことが人格を広げるという。無念なことに私はこの遊びに匹敵する芸を持ち合わせてはいないが、余暇時間を楽しむ能力はある。

例えば、身近なギャンブルは限度を持てば、安易に経験できるわくわく型の遊びだ。なにしろ、世界一のギャンブル大国は日本である。

公営ギャンブルや宝くじでもかなりの市場を占めるが、なんといってもパチンコ等の日本の遊技は、世界有数のカジノの市場をしのぐのである。

遊技業界は、ピーク時からみると下降したといえども、未だに29兆円近くある。余暇事業の市場全体では85兆なので約3割は遊技業界が占めている。

それにしても、1930年頃に初めての台ができた後、いつから、急成長したのだろうか。私的には、幼少期から大人にまとわりついて遊ばせてもらうのに始まり、それなりの歳からはそれなりの仲間と共に通いつめ、業界の成長に貢献した記憶もあるが、継続には根強いファンも必要だし、新たな顧客獲得も必須である。それを可能にしたなにかの切っ掛けがあったはずだ。

まずは、不況に強い産業である事に気づいた大手銀行を筆頭にした金融面の支援ではないだろうか。大型店舗出店が可能になり、コンピューター制御の魅力的な機器が増え、店舗イメージを一新したことで顧客層が増え、なにより、高収入、安定企業ということで、優秀な人材を揃える事ができた、今から20年ほど前の事である。

遊技業界の人材には、理工系の優秀な人が多い。何故なら、彼らのビジネスは、データー分析のもと機種を導入していく緻密な工程と判断を伴う事業であるからだ。

世界一の遊技業であり、34万人以上を雇用する成長産業にまでなるように、先駆者となった経営者の方々が命がけで開拓、変革されてきた事もよく存じ上げている。

あまり知られていないが、遊技業界は、未来に向けての環境保全、社会貢献、災害支援に多大な金額を投じているし、あらゆる事故防止や遊技依存症に対する具体的な政策も行っているのだ。

余暇事業の成長に欠かせないのは、人々に安心な娯楽を提供し、収益を社会に還元する為の強靭な組織のルールづくりなのだと思う。

そして、今後の余暇事業の課題は、余暇にまみれてくる程、どんな内容も興味を感じなくなることだ。忙しい合間の余暇ほど魅力的な時間はないのだから。

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