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コラム

第112回

「Gap」

思い込みが崩れる時に、脳内ホルモンが分泌される快感にあったことはないだろうか。その場合も、素晴らしい人だと思っていたのに器量が小さく卑怯な人であることが露見したりしてがっかりした擦れなんてことではない。

むしろ、厳しそうな雰囲気の人が意外に繊細で優しい人だと分かった時。強面のお兄さんが子供やお年寄りに親切にしているのを見た時のGap感である。

近年、この嬉しさを味あわせてくれた社長の一人にwebリスクマネジメント事業を手掛けるS社長がいる。

初めてのGapは、2年ほど前に、年齢を知った時。それまでは、その物腰や、ビジネス会話のテンポに切れ者サラリーマンが機を見て敏で独立した40代の起業家かな…。となんとなく思っていたのに。

「3○歳ですよ」「えっ?(なんか聞こえない、耳が遠くなったのかしら)」
「31歳です」「えっ?(冗談?冗談だよね)」
と驚いた。そう言われてみると、流石に肌艶が若い。なによりも、眼が若い。その上、学生時代に起業してすでに10年近く経営していた。全然違った…。意外と、無鉄砲なのだった。

なんでも、すごい事が出来るのだろうと凄い大学に入ったのに、凄い事は、学力でなるとは限らないことを悟ったらしく、やりたい事は早くやらないと時間がもったいないと思い、とっとと起業したらしい。本当は、沈着冷静に判断したと思うけれど。いつも意表を突く発言を、解りやすく、さらっとするので、ついつい引き込まれてしまう。

本当に賢い人は、誰にも(要するに私に)解るように話ができる人だと思っている。これまで、お会いできた大成を成した方々に共通するのは、解りやすい言葉を話す事と、人を差別しないことだ。その方々を彷彿させる。

彼には、ずっと先の大きな目標があって、そこに向かって進んでいるのだろう。どんな年上の大物経営者と出会っても、臆することがないのは、目標が見えているからだ。

「彼は達観しているよね」とは、他の経営者の方々に共通する彼の印象である。細部に拘らないので、目の付け所が違う。他社が、告知力UPに力を入れている最中に彼が始めたのは、誹謗中傷の火消しビジネスだった。

人間の心理を理解していればこその発想であったと思う。そもそも物事の逆を見たり、考えるのは、人の痛みがわかる人なのだ。だから、社会貢献も率先して行っている。

素晴らしいですねと称えたら、眼をくるくるさせて「そんな大した事ないです」といって話題を変えてきた。苦手なのだね。そういうところが、また、また、Gapなのです。

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