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コラム

第113回

「矜持」

漢字には、長い歴史を経て、文字に込められた意味やいわれがあるので、辞典で解釈されている事と少し違うかもしれないが、私にとっての矜持とは、「自分自身が大切に守り抜いている思いの基準」である。

例えば、人材育成の天才と思っている経営者の、その方の社員への叱咤は、一言で済んでいた。「日本一の会社の社員としての考えか?サービスか?」と問うだけなのだ。

見事な事に、そこの社員の方々は、会社の外で、上司や仲間がいない時も、その意識を持って社会に接していた。その事実を幾度も体験した時に、人材育成の真髄を垣間見た。

そこには、その会社の社員の方々に、日本一としての自覚を持つという「矜持」を感じたからだ。そういう強い「思いの基準」である。

インターウォーズは、毎年の初めに一言を書いて、その年の間、社内に貼り出される。やや、気恥ずかしいが、その一年、生き抜く上で、目標や決意を忘れないように、貼り出されてもしかたがない。

しかし、いくら目標を持っても、世の中は、思い通りにはいかない事が大半である。どんなに自分が頑張っても、病や、事故や、家族の事情などで人生設計は簡単に修正させられる。まさかと思うような醜聞事で、いきなり頂点から引きずりおろされる時もある。

人の運命はわからない。順風満帆であった会社もなくなる時は一瞬であるし、数人の会社が2年もしたら数百人になっていることも、今や珍しい事ではない。

どのような経営者でも、人間である以上、そうそう完璧な判断は続かない。大事な事は、何か起きた時のその後だと思っている。また、頑張るか、不満を持ってなにもせずに朽ちていくかだ。

不思議な事に、なにか事をなした人程、死ぬまで挑戦する気質は抜けていない。彼らの「矜持」があきらめを許さないのかもしれないが。だからこそ、自分の矜持は大切だと思う。

何があっても、自分自身の軸があれば豊かな気持ちを維持していられるはずだ。なので、今年は「矜持」と書く事にした。

一人でも多くの起業家が、新たな事業で、一人でも多くの雇用を創造して頂くために、私自身の矜持で、お役に立ちたいと思っている。

新たな年にあたり、改めての決意表明でした。
今年も、宜しくお願い申し上げます。

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