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コラム

第116回

「仕事に愛を」

いつの頃からか、深夜TVをつければ、旬なタレントさん達のバラエティ番組が目につくようになった。わくわく感が薄れているのは、加齢のせいだけではなさそうな気がしている。

古い話だが、バラエティ番組といえば、11PMという50年前に始まり、25年間続いた深夜の長寿番組があった。エロティカルな雰囲気の中に、あらゆる知識や情報がスマートに組み込まれていて、娯楽の少ない時代でもあったのかもしれないが、大人も、おませな子供も楽しみの一つであった。それはもう衝撃的な構成だったのだ。

同じころ、休日の夕刻を和ませるシャボン玉ホリデーという人気番組も、歌あり、コントありのバラエティ番組で、アイドルやスターの小芝居は、新たなキャラを創りあげファン層の拡大に貢献していた。

そんな、当時としては画期的な企画で視聴者を喜ばせる仕事を残し、なによりも、米国本部と神業的な交渉をして、「東京ディズニーランド」の千葉への誘致を成功させた伝説のプロデューサー、堀貞一郎氏が先月永眠されたと知った。

姿勢正しく、俳優のような声の持ち主であり、その語る言語は明解で、ユーモアにあふれ、人に垣根が無く、すべての人に自然に平等に対応される姿に愛を感じたのを思い出した。

ビジネスにも愛は必要不可欠である。お客様が望むこと以上を無償で行う行為だ。例えば、飲食店なら料理を出せば、お金は頂ける。不動産なら物件を紹介して契約をすればお金に変わる。しかし、常にお客様の事を考え、心をこめたおもてなしや、相手のニーズを察知し提供する努力を重ねれば、それが、料金を超えたブランド価値になり、顧客の信頼を得る。伸びている企業の背景をみれば一目瞭然である。

眼に見えない努力こそ、仕事の価値であり愛なのだ。

堀さんには、常に知恵や知識を愛する哲学があったのだと思う。だから、情報収集能力に優れ、画期的な企画ができた。

だから、高齢になられても、広い人脈を持ち、多くの老若男女に慕われた。だから、一人でも多くの方に歓びや楽しみを与える存在であり続けた。そして、最後まで、恰好良く、旅立たれたと想像している。

自分を信じ、周囲の方やお仲間と人生を楽しまれた堀さんのように、共に楽しむ為に知恵を使う事が出来たら素敵な人生が歩めるのだ。

知恵は、自分と人とが楽しむために使いましょう。もちろん、知恵を生むのは苦労が要りますよ。人生楽しんでばかりでは、楽しみがなくなってしまいますからね。

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