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コラム

第49回

「幸せになれる会社」

「幸せになれる会社って、どんな会社?」との会話に、この頃よく出会う。
一人ひとりの幸せの基準が異なるわけだから、自分が幸せになれるのはどんな会社かという視点をまず持つべきだが、その前に働くということが置き去りにされていることがある。

従って「働いて得る幸せ」を前提に、幸せになれる会社とは、自分が成長でき自己実現できる会社ではないかと思う。

個人が成長できる企業の条件とは、まず、最初に、揺ぎ無い企業理念を持ち、魅力的なビジョンを描いている事。企業環境が刻々と変化している昨今、その変化に対応していくことは不可欠だが、だからといって基本的な理念がころころ変わるようでは、顧客や投資家から信頼を得る事はできない。また、社員にとっても何を指針に頑張ればいいのか見えないまま、仕事に打ち込む事はできない。

もちろん、利潤を追求するのは当然だが、トップが単に「会社を大きくしたい」とか「もうけたい」としか考えていなかったら、共感して働くことはできない。それに対して、「世の中の仕組みを変えたい」「人々に新しい価値を提供したい」といった理念が浸透していれば、おのずとモチベーションが高まり、前向きに仕事に向かえる。それがひいては自分自身の成長につながる。

次に、世の中にない新しい価値を創造しているか?
21世紀のリーディングカンパニーは、「新しい価値を創造できる企業である」と私は確信している。

構造変化が起きている今、だれも手がけていない全く新しいビジネスモデルが、これからのオピニオンリーダーになる可能性が高い。そうした先進的な企業と、旧態依然としたビジネスを展開している企業とを比べれば、前者に身を置いたほうが個人としてもはるかに成長できる。

それは、新しい事にチャレンジする機会が多いため、時代の流れに沿ったスキルや技術が身につく。常に変化にさらされ、「気づき」や刺激が多い事にある。

仕事選択やキャリア形成の開放自由度があるか?
若いうちからどんどん仕事を任せてもらえる会社と、補助的業務しかやらせてもらえない会社。どちらが早く力がつくか。いうまでもなく前者である。

やる気と能力次第では、年齢や経験の度合いにかかわらず責任ある仕事を任せてもらえ、どのように仕事を進めるかは個々の判断に委ねられ、仮に失敗してもふたたびチャンスが与えられる企業かどうか。

そして、仕事の成果に見合った収入を得られる企業か?
20代から30代前半くらいまでは収入にこだわるのはあまりすすめたくない。昨今はエンジニアを中心に、年収アップのみを目的とする転職が多く見られるが、転職して仕事のクオリティが落ちたらキャリアは逆戻りである。若いうちは給与や待遇より、どんな仕事ができるかを優先すべきだ。

しかし、仕事の成果を重視した給与体系でなく、年齢や在職年数だけで給与を決めている企業、その人の市場価値とあまりにもかけ離れた給与しか提示できないような企業は、どこかに問題がある。

また、評価の仕組みも、仕事とは別の力関係が働いて評価が決まるようなところ、仕事内容と対価が不釣合いな企業も避けなければならない。

それでは、その条件を兼ね備えている企業は一体何処なのか?また、出会えても自分を迎え入れてくれるのだろうか?ということも考えなければならない。

要は、漠然とでなく具体的にどうしたいのかつきつめていくと、どうしてもゆずれない条件は譲らず、捨ててもいい条件は、潔くあきらめ決断してゆくことが、「幸せな会社」と出逢う為の早道となる。

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