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コラム

第128回

「空間ビジネス」

人生は、あっという間に過ぎる、20年なんてあっという間だ。20年前といえば、1995年は、天災あり、人災ありの激動の年だった。

不気味な時代であるという思いをしながらも、日々の糧である商業施設へのテナント誘致事業と、インキュベーション事業のモデルを模索していた事を思い出す。

テナント誘致とは、施設や土地の有効活用を、計画に準じて具体的な賃貸借で解決する業務である。当時は、流通業に精通していないと難しい仕事であった。

その5年くらい前に遡ると空間ビジネスと言えば、時代を映す豪華絢爛なディスコやおしゃれなバーや飲食店のコンセプトを提供する、プランナーやクリエイターが、一世を風靡していた。

まさにバブルの絶頂期には、過剰なコストをかける事が美徳に感じる不思議な時代でもあった。不謹慎かもしれないが、素直に面白かった。

沢山のお金をかけて、空間を創造し、高額な家賃を払い、無駄なスペースを持つ事は、幸福の象徴に感じていた。ところが、あれから、25年…。

今や、無駄なスペースや高額なコストをかけることは、時代に合っていない。
なんとも、みっともない、いや、もっというと、そんな余裕は無いという時代である。

技術も化学も進歩して、長寿の要素満載の世の中では、物の豊かさは心の豊かさでは無く、人との繋がりや、信頼や、倹約や平等が美徳なのである。

そして、ネットネイティブな若者達のおかげで、世界中で誰でも自由に安価につながることが出来、物よりも知識や趣味やゲームで充分楽しめるのである。なので、ビジネスのスタイルも大きく変化したのだ。

自分事で驚いたのは、株式会社スペースマーケットの出現である。昨年、偶然ラジオで存在を知り、一度お会いしたいと思っていたら願いがかなった。

ラジオから流れた爽やかな声の持ち主らしく、抜群のプレゼン力を持ちながらも、礼儀正しく、謙虚で真摯な態度で会話をする素敵なかたであった。

そして、今だからこそ、重松氏だからこそできるビジネスだと改めて思った。ここの事業は、あらゆるスペースをタイムシェアする為の予約システムである。劇場でも映画館でも球場でも、寺でも店舗でも倉庫でも。そこに空間があればなんでも。

20年前には、いや10年前でも、物理的に無理で実現できなかった事である。多くの方がSNSでつながった事で、犯罪の抑止力になり、ネットで、契約も決済も交渉も時間がかからない、今だからこそ可能になったのだ。

今や、家、車、畑、店、オフィス、店舗、ペット24時間、365日。
他人と使いあえる時代になったのである。

次は、どんな事がシェア出来たら、世の中の役に立つのだろう。というか、その使い方が大切なのかもしれませんね。人としての品格を試されるのですから。

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