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コラム

第62回

「利益の創出」

今月、上場企業の多くが決算を迎える。昨年、東証に上場している1,507社の全企業の2002年損益を、足し合わせると、9,669億赤字になった。

何故、利益が出せないのだろうか? 赤字経営者の方々に、話を伺ってみると環境の激変、競争激化、市場飽和といった要因をあげる経営者が多い。

しかし、こういったことは、いつの時代も、どの企業も出あう必然の事態である。解決の手立ては、環境変化に素早く対応し、利益を出せる経営ができるかどうかにかかっている。

「理念、ヴィジョンを描き、価値あるコア・コンピタンスを確立し、顧客の利益接点にすべてを集中すること」によって、自社の競い合う事業分野の中で、ひたすらナンバーワン、もしくはオンリーワンを目指すこと。これが、結果として利益を生み出すことへとつながる。

過日、転職情報サイト運営会社のエンジャパン越智社長に、お会いした際、「どうしてそんなに利益が出るのですか?」と訊ねると、「売上数字は全く追いかけていない。」との言葉が返ってきた。

「ただ、ひたすら、「職縁」という理念を持って、転職された方に企業で活躍して貰う為に、企業側に情報開示を正確に求め、求職者が求めている情報を徹底的に提供し尽くそうと思ってやってきた。特に、一社一社取材し、専門のコピーライターが原稿を作成し「取材者の印象」や「職場を動画ムービー」で閲覧できるようにしている。

そして、値引きなしの定価販売で、どの企業に対しても、同価格で同レベルの情報サービス提供している。質のNo.1を目指し、量を追求しない”不良品を出さない”経営を展開している。」とのことであった。現在同社は、売上31億、経常12億、時価総額120億という脅威的な数値を創生している。

越智さんの経営は、社会正義が大きなエネルギーとなり、理念を共有した社員によって組織がまとまり、利益を創造している。どのような環境変化が起きても、利益を生む基本は、いつの時代も変わらない。

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