column

コラム

第67回

「企業の栄枯盛衰、今や2年」

「私は豆腐屋になりたい」とソフトバンクの孫さんがいっていた頃、多くの豆腐屋さんが日本に誕生していた。その意味は、時価総額での、会社の株価の総額が億ではなく、1兆、2兆と兆(丁)というアンビションだった。

当事、ソフトバンクの株価は、19万8,000円を付け、数兆円の時価総額ベンチャー企業として注目を浴び、アメリカのタイム誌の表紙に、自信に満ちた孫さんの笑顔が登場していた。しかし、昨今の株価は、1,000円台まで下落し、今では3,500円となっているものの当時の勢いは全く感じられなくなってしまった。 

ソフトバンク社に関わらず、つい数年前には時代の寵児ともてはやされていた企業が、一転して転落してしまうケースが後を絶たない。

最近の企業の栄枯盛衰周期が、極めて短くなってきている。企業の栄枯盛衰には、アンビジョン(Ambi-tion=大志)、サクセス(Success=成功)、アロガンス(Arrogance=傲慢)、ディクライン(Decline=衰退)と4つの段階があるといわれる。特に時代の先端を行く業界では、その変転が、著しく速い。

例えば、NTTドコモなどは、類のないほどの急成長を遂げサクセスしたと思ったら、いつの間にかアロガンスになり、成長イメージが見えなくなり、株評価は更にダウンするのではないかと危惧する声もある。ここ5 ~6年の企業の動きを見ていくと、日本も世界市場の流れも、2周期ごとに企業の栄枯盛衰が2年サイクルになっていることが見えてくる。仕事柄、永年多くの創業経営者と出会い、企業の大志→成功→傲慢→衰退という4段階の転変を目の当たりにしてきた。

企業に傲慢体質をもたらすのは経営者自身よりも、得てして役員、マスコミ、内部組織などの取り巻きから、牙城が崩れ、崩壊してくることが多い。

早く衰退する企業には共通項があり、衰退を招くのは”覇者の騎り”からくる傲慢である。デフレ時代の今、成功者が少ないので、すこし誰かが成功すると新聞、雑誌、テレビ、などのマスコミが一斉に群がり、芸能人の如くスター化させ賞賛を浴びせる。それで経営者も幹部社員も自分を見失って傲慢になり、危機感が薄れ実力を錯覚し、なすべきことをしなくなり自爆してしまうのかも知れない。

事業で大切なことは、継続する力である。創業時の企業DNAを守り、顧客との接点に向かい、PLAN、DO、SEEを愚直に繰り返していくしかない。

そして、そういった中から、”成功の癖”を身につけることにある。全ての業界、企業によって勝ちつづけているその癖は異なっている。簡単に登頂した山は、簡単に降りられると同時に、誰でも短期間で登ってくる。一つの山を登ったら、その登り方の癖を身につけ、それを踏み台に、今の時代は、2年サイクルで足場を固め更に連鎖した山を登る感覚で進まないと癖は埋没してしまう。 

いつの時代も、どの企業も信念を持ったリーダーの基で、邁進する一人ひとりの汗が、他社の追従を許さない業界ナンバーワンになる力となっている。

コラムを毎月メルマガでご購読