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コラム

第96回

「新年初心」

「初心」とは、何かを起こすときの決意と言われているが、私は、とても美しく新鮮な心のあり方でもあると思っている。2006年にあたり、創業期、人と企業のインキュベーターを志した、「初心」を思い起してみた。

昨年は、株価15,000台となり、日本を代表する企業の三菱商事、キャノン、トヨタ自動社にいたっては、上場以来の最高値を更新している。

また、個人消費も良くなり、日本経済は現時点においては、好環境に位置している。株式公開企業も一昨年から170社を超え、2005年の12月は20社台となった。一方、米国のグーグルの時価総額は、なんと現時点で15兆となっている。

世界的な規模で経済は、サイバー社会を背景に、これまでないハイスピードで激変している。かつて、経済学者のアルビンとフラー氏が、第三の波と表現した時代の渦中に、今、私達はいる。

一方、こういった渦中で、昨年、公開し注目されているクリエイトレストランツ、ユージン、オールアバウトをはじめ、話題となっている企業群の顔ぶれを見ていると共通の傾向があることに気づく。企業内起業によって、創生され成長してきたベンチャー企業が増大していることである。

過去に、ヤフーがソフトバンクから、アスクルはプラスから、フャナックは富士通から生まれた。今日の日本を代表する企業の多くが、現存の企業の経営資源を活かし、創生され大きく成長し今日に至っている。

最近では、カーブアウトというインキュベーションの手法が、にわかに注目されている。当社が創業期から提唱している「出島インキュベーション」のモデルである。企業の中に眠っている人材やアイディア、技術、ビジネス構想を一旦外に出し、エグゼクティブサーチなどをはじめ、外部の様々な協力を得て、育成していく方法論である。

企業の中にいては、可能性ある人材やアイディアが塩漬けになってしまうことを避け、外に出して、100%の子会社でなく提携先会社やアントレプレナーの資本も入れ、本社の意向に、時には「NO」といえる体制を創ることが起業の成功の第一歩となるからだ。

経済は、「気」で成り立っているところがある。現在の経済環境は、既存企業に勇気をもたらしている。セブンイレブンが親会社のヨーカ堂の売上や利益を超え、グループ変革を展開している原動力になっている事実は、新たな既存企業の存続経営戦略を表している。

企業グループ内起業は、現存の企業と人の新たなあり方として、ますます注目されると思える。2006年に輝く人や企業は、企業グループ内起業家が、公開市場の新たな「主役」となり、2006年を、照らすだろう。

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