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コラム

第105回

「起業社会」

最近、「Web2.0」という言葉を、よく聞く。
定義は、人によって様々だ。詳しい友人に尋ねると「個人ユーザーが中心となって、誰でも利用できるインターネット上のサービスを使って、すべてのものが繋がってくるようなもの」と教えてくれた。

利用者同士のperson to parson として、不特定多数の個人間で直接やり取りを行うネットの利用状態のイメージで、誰もが発信能力を持ち、その気になれば放送局もどきにもなれる。新たなフェーズに入ってきた。

昨年、公開したアウンコンサルティング社の検索エンジン最適化SEO技術を集客手段活用して、自社サイト単独で成長している企業が増大している。

また、アマゾンドットコムが、自社のサイトのデーターへのアクセスを広く一般にオープンし、新たなサービスが創生されている姿は、これまでと違った新たな事業機会が生まれ、Web2.0のビジネス機会の窓が開いた。

過日、NBCの新規事業開発委員会でのセミナーで、オールアバウトの江幡社長を迎え、「企業内起業」をテーマに講演をいただいた。オールアバウト社は、リクルートと米国のabout.comと江幡さんの出資により、スタートしたジョイントベンチャーである。 

5年で見事に公開し、現在、460人の専門ガイドの方々が案内する総合情報サイトに、月間ユニークユーザー数1,500万人が訪れ、日本を代表する情報サイトとして育っている。

江幡さんは「企業内での起業」の成功のポイントとして、「本体に、ものを言える資本政策を考えてのジョイベン形態、株式公開をスタート時から考え、ストックオプションを取り入れた人事制度、ボードメンバーにおける支援者の存在、自身が退路を断ち独立、立ち上げ人材の確保」そして、「志をもって、自分のやる事業を信じきって、やりきった」と力強く濃いスピーチだった。

事業アイディアを本体から切り離して、外部の資本を入れ、別の組織で事業化し、親会社のマネージメントを薄める新たな起業スタイル「カーブアウト手法」を取り入れての、オールアバウトの実例は、これからの企業内起業のモデルだと思えた。

日本の開業率は、昨年22番目(アメリカ3番)である。事業機会の窓が開いている今、起業への挑戦者たちが、一人でも多く出てきて欲しいものだ。

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