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コラム

第125回

「起業家の育つ会社」

書籍を出版してから「企業内起業家は、どうすれば育つのか?」との相談を、多くの企業の皆さんからよく受けるようになった。

よく突出した起業家が、組織で一人誕生すると、次々と起業家が登場し、企業内での起業の勃興が起こり、母体企業をイノベーションしてゆくことがある。以前IBMの出身者が、多くのベンチャー企業を創出した時代があり、最近ではリクルートが起業家を輩出する代表的な企業と言われている。

起業家が育つ組織に共通して云えるのは、独自の風土や仕組みが存在することである。リクルートでは、「RING」(リクルートイノベーショングループの略)と称した社内起業提案が、年間300件を超え、審査を経て実際の提案者が起業チームを創り新規事業を立ち上げ、今日では、多くの事業や関連会社が育っている。

最近では、インキュベーション手段が進化し、個々の役員の求めるテーマをメンバーに広報し、そこに向けて共感したテーマを持ったメンバー達が、新規事業提案を行っている。経営とメンバーが一体となって新規事業を創造してゆく仕組みと起業風土が、創業来、醸成されている。リクルートでは、イノベーション戦略として、次世代の起業経営者と事業を育てている。

多くの企業の経営者から、「起業家は、企業内でなかなか育たない」との話を聞く。しかし、育たないのではなく、そういった人材を採用しようと試みていなく、育てようとする風土や、仕組みを本気で創っていないと思う。

一方、突出した起業家が育つ会社には、起業家を育てようとする風土や支援組織、そして、一旦起業家人材を外に出す「出島」インキュベーションメカニズムが、存在している。

起業家が誕生する企業の特効薬はないが、共通していえることは、一人の起業家を、全社を上げて支援する風土と体制創りが、企業内起業家を創生し「類が友を呼ぶ」ことによって、企業の成長エンジンを得ることに繋がっていることである。

企業のゴーイングコンサーンは、企業内に、どれだけの次世代を担う起業家を創生させることができるかにかかっている。

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