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コラム

第134回

「新規事業に取り組むには」

最近、転職相談に見える方から、こういった時代背景からか「新規事業を立ち上げる仕事をしたい」との、相談をよく受ける。当然だが、新規事業を立ち上げる役割を担うことは、会社にとって投資を伴い、そこに賭ける経営判断と責任を伴うことである。

そして、起業の責任者になることは、全てのエネルギーを集中し、土日も含め休みなどなく、途中で投げ出さない不退転の覚悟がいる。

こういった覚悟の確認を求めると、「年収は○○でないと、そして、土日は休みたい、権限がほしい、任せてくれるなら、そして、部下はこういった人材を付けて欲しい」と、要望が溢れてくる。

こういった人と真剣に向き合っていると、新規事業を立ち上げる事業の本質を本当に理解したうえで希望しているのか、理解に苦しむことがある。

起業とは、リスクにチャレンジすることであり、新たな事業を創造し収益を得たことにより収入を獲得することである。このことを前提に以下のことを申し上げたい。

創造的な仕事をするには前例や慣習、常識にとらわれることなく、大胆な仮説を立て、それを検証する姿勢が求められる。コンサバティブな先輩や上司と対峙すると、組織で孤立し、冷や飯を食うこともある。しかし、それに耐える胆力を持たないと挫折する。

そして、上司の顔でなく、マーケットのお客様の顔や声を聞かなければ新商品やサービスは生まれない。場合によっては、意志を貫くため、会社を辞める覚悟が求められることもある。そして、常識や当たり前とされることに対し、何かおかしいと自らの感性を信じることが、極めて重要である。そうして自らの思いで、一つの仮説に気付いたら、徹底的にそれをサーチすることだ。ただし、それに反する材料が出てきたらその考えを捨て去る決断も必要である。

また、同質の人材だけで、新規事業に取り組む企業は、必ずどこかで息詰まり壁にぶちあたる。タイプの違った異質な個性を持った人たちが集まりカオスの中から議論することで、新しいものが生まれる。経営サイドの責任者には、新規事業を創造してゆく起業チームを見抜く目を持って欲しい。

これから、企業内起業によって企業をイノベーションしてゆくには、独創性に富んだ異端児を塩漬けすることなく、異質メンバー同士と議論を交わし化学反応を起こし、仕掛けていくチームが、組織に求められている。

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