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コラム

第216回

「峠から峠へ」

感染症問題が薄まり数年ぶりの人と会う機会も増えている中、リタイアしたにも関わらず、またもや新しい事を始めている方々に驚きと疑問が湧いた。

何故こんなに楽しそうなのか、普通では買えない新薬でも飲んでいるのか、ともかくその元気の素はなんなの?である。お若い頃から存じ上げているので見た目は変化していても精神は若者のような純粋さや熱意が残っている。

確かに少子高齢化でいろいろ課題が多い日本では、働かざるを得ない高齢者が多い事は仕方がないのだが、彼らは働くという感覚よりも新しく事業を始めている。勿論、短めの先を考えて諸計画も万全だ。

50代までの無敵な青年期を超えたら能力が衰えていく事を自覚していても、やりたい事を見つけたら即刻始めている。そもそも昔から元気な方々であったが、言い換えれば今でもやりたいことがあるから元気なのだろう。

とはいえ、彼らがずっと好きな事ばかりをやって順風満帆できた訳ではない。当然ながら予期せぬ不幸や災難は昔から無くならないし、やりたくない事もあったはずだが、どんな時でも人並外れた頑張りで仕事をされていたから、今があるのだとも思う。そして人生最後の時までやりたい事を出来る限りやると決めているようだ。

最後までやるで思い出した方がいる。

日本もGAFAMのような企業を生み出したかもしれない時期があった頃、若き日のビルゲイツさんが興味を持たれていたPCの開発者で有名な日本の起業家の方だ。紆余曲折あって再起業されていた時に「私は誰も踏んでいない道に新しい足跡を残したい、死ぬまでやりたい」とおっしゃっていた。言葉通り、晩年になっても新たな事業で企業を成長させ上場まで導かれた。

どのみち私たちは生まれたからには「何か」が起きるし「何か」で必ず死ぬ。なので、先の不安に捉われて、自らのやりたい事を逃してしまうことは無い。なにより、様々な事情を出来ない言い訳にしてしまうのも実に勿体ないのである。

小さな目標でもかまわない。なにかやりたい事に対して具体的に行動を起こす事が元気の素であるのは老若男女関わらず全ての人に言えることではないだろうか。

インターウォーズは創業期より異業種交流会を定期的に開催しているのだが、Web1.0~3.0時代になった今、ついにZ世代の若くて元気な起業家との出会いも増えた。

デジタルネイティブとか、デジタルヒューマンとも言える方々だけに、現技術を活用した新たなビジネスモデルは魅力的なものばかりだが、どなたもキラキラと輝く瞳で情熱をもって仕事をされている。そのままの熱意で、峠を登り、次の峠を目指して登って欲しいと思う。

そういえば、「人生は峠から峠への道の過程だ」と、どなたかの言葉がある。この峠は予期せぬ事の意味もあるようだが、どうせなら自分の目標を峠にしよう。

つまりは、死ぬまで峠を見つけて登るほうが人生は楽しめる。前述の諸先輩方のようにね。

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