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コラム

第159回

「武器がいらなくなる日」

武器とは、勝ち残り、ひいては生き残るために活用する機器あるいは、身体的な特質。と私は思っている。

はるか昔は、人間の武器は固い石や尖った棒等、簡易な物であったが、人類の歴史と共に、より高性能な武器が開発される中、沢山、沢山、活用され、悲惨な戦いが続いた。

そしてやっと、一部の国の紛争を除けば、平和と言える時代が続いている。それなのに、今なお、新たな破壊や破滅につながる武器の開発に余念がない。人類は、常に他者からの迫害や制圧に怯えているのである。

その怯えがある種の経済活動につながるのだから、多分永久に武器の開発は止まらない。それどころか、これまでは、争いの際に建造物や身体的に影響を持つものを武器と思っていたのだが、ITの発達で、簡単に相手を窮地に追い込むことができるようになってしまった。

ハッカーという新たな「頭脳」という武器を使って。

私たちが、平和に過ごすことができる背景には、安定したインフラと、そこそこの預金と収入源があっての事であるが、電気やガスや、交通網や通信網が途絶えた時になにができるだろうか。ましてや、財産が一瞬で奪われてしまったら。

なんとか生きることはできるかもしれないが、今の生活は守れないはずだ。そんなことができうるだけの技術が、現代にはある。

チラチラと目にしたり、耳にしたりしていても、ピンと来ないのは、そんな被害から守ろうと日夜努力している技術者の方々のおかげである。サイバー攻撃は、身近で常に起きているのだ。

何故そんな事が起きるのかは、簡単だ。ハッカー達もビジネスになっているからである。そして、そのハッカーの攻撃を迎撃するハッカーさんがいて、日夜戦いは続いている。全く、人類は、武器は変われど、戦う事がやめられないのである。

そんな中、なんとも、こんな事が本当に実現したら、戦いなど無くなってしまうのではと思えるビジネスを始めた会社に出会った。

株式会社Huberという。

手始めは、訪日外国人に観光案内をしながら、モデルを固めていったという。彼らは、ツーリストではない。通訳と地元に詳しい人とのペアで、訪日する外国人と事前に打ち合わせをし、観光案内をする仕組みを創った。結果、案内しているうちに、親しい友達になっていくという。そして、この仕組みが世界中に広がれば、世界中に友達ができるというわけだ。

そうだ、友達になった人の不幸を願う人はいない。と思う…。それに、友達に戦争を仕掛けたり、友達に毒を盛りたい人はいない。はずだ…。

なので、世界中が友達になる為のビジネスを、まずは、観光案内から広げていきたいという大きな思いを持っていらっしゃる。なにしろ創業者は孫正義塾の一期生だけあって、構想力も、説得力もあるので、すでに大手企業との取り組みも始まっている。

確かに、自分の周りをみても、日本人でない方々と顔を合わせることが増えてきた。これから益々、諸外国の方々との交流が増えていく事を考えると、言葉の壁や、文化の違いを超えて互いに分かり合って仲良くなれたら、素晴らしい事だ。

憎しみや恐怖からは、幸せは生まれない。一度の人生なのだから、より多くの人と楽しい時間を過ごしていかないともったいないのだ。攻撃することばかりでなく、助け合う事の為にあらゆる技術が進歩して欲しいものである。

そう、お友達をつくりましょう!お友達大作戦に武器はいらないから。

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