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コラム

第162回

「泣けばいい」

誰しも、思わず涙がこぼれたり、泣きたくなる時がある。そんな時は思い切り泣いた方がいい。泣いて泣いて、涙が枯れるかどうかはわからないが、とりあえず落ち着くまで泣いた方がいい。

なんで、泣くのか?涙とはどういうものか?と考えた方や、幼子に、何故眼から水がでるの?とか問われて、戸惑った経験のある人もいると思うが、ともかくは勝手に出てくる不思議な液体だ。

涙の研究と言えば、ウィリアム・フレイ二世博士という方が、涙は感情的緊張によって生じた化学物質を体外へと除去する役割があるという仮説を基に実験をされた。

まだその立証はされていないそうだが、実に気にかかる。こんな私でも、涙が出る状況の違いくらいはわかるからだ。網膜の機能や、刺激による弊害を保護するものと、身体の様々な変化により、体液の一部として流出してしまうもの。先に出た感情的緊張によるものである。

そして、この感情的緊張で流す涙というのが人体の不思議な機能でもある。ところが、怒り、くやしさ、後悔、喪失、恐怖、不安による涙と、歓喜、感動、感謝による涙では大きな違いがある。

どちらも、平常に戻すための作用として役立つが、やはり心の浄化には歓喜、感動、感謝の涙がいいそうだ。つまり、感動の涙を流した方が、心が澄んで、なにより自分を大切にするようになるらしい。

最近は、良い涙の効能を確信して、涙活も盛んになってきているというのもうなずける。涙活とは、感動して涙を流す事で、日々の多くのストレスを発散させるという活動である。

ストレスで心の平常心が保たれなくなると、体調に影響を及ぼしてしまうからだ。そこで、心にいい薬は感動の涙を流す事となる。

だから、自分の為に、泣きましょう。そうはいっても、なにも無いのに泣くのは、特別な演技者でもなければ無理。しかも、心からの感動の涙となると、演技者でも難しい。

なので、手っ取り早いのは、有名な恋愛や人情的な映画や舞台を鑑賞することだ。名作の映画や舞台、あるいは小説には、感動できる内容が豊富に込められている。

それに、私たち人類は、登場人物に感情移入できるという特殊な才能を持っている。時には、その人物になりきる事もできる。おかげで、登場人物のひたむきな思いや優しさ、純粋さ、思いやりに胸を打たれ、自然に涙が流れるのである。

そもそも、人間は、泣きたい動物なのだ。なにしろ感情というもので涙を排出できる唯一の動物である。だから、泣くことは恥ずかしいことではない。格好悪くも無い。だって人間だもの。

むしろ、心に潤いをもたらす、いい薬だと思う事なのだ。悔し涙も、哀しい涙も、泣きたいときは泣けばいい。老若男女関係ない。格好を気にするなら、一人の時に泣けばいい。

ただ、できることなら、感動の涙を流した方がいい。その分心穏やかな素敵な人生が歩める。感動の涙は、デトックス効果がある。よけいな邪気を払ってくれる効果がある。

例え、今の生活や境遇に恵まれていなくても、不幸のどん底にいると思うような時も、そういう時こそ、良い涙を流す事だ。心を浄化する涙は、精神を奮起させる効果もあるのだよ。

せっかく、天から授けて頂いた浄化機能、活用しない手は無いと思いませんか?

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