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コラム

第204回

「お金の存在が変わってきた」

過日、IT業界の経営者の皆さんと飲みながら、日本の未来はお金の姿が変わるとの話になりました。IT社会が到来してから、「お金のポジションや存在感が弱まってきている」と、話が拡がりました。

デジタルマネーの存在が強まるにつれ、リアルの世界で目に触れ手にする紙幣・硬貨としての「お金そのもの」の価値が弱まってきているように感じます。収入を得て商品を購入するまで、一度もお金を目にすることなく完結することさえ違和感なく出来る世界が成立しています。

IT社会の到来により、お金そのものに価値があるのではなく、「情報」によって価値が変わる社会に変貌しました。ネットで商品を購入する場合、まず価格ドットコムなどで価格を比較し、安いお店で購入します。ブランドを持つ商品であれば価格がどうであろうと品質には関係がありません。「情報」が商品の「価値」を変えたのです。

実際の店舗で商品を売買していた時代は、とにかく消費者の目に留まる場所に置くことや、CMを始めとする販促に投資できる会社が勝っていました。

対してネットビジネスは、消費者へダイレクトに商品を販売できるので、SNSなどの口コミが影響を与えます。高品質で評判の良い「商品」が生命線となり、「商品」の存在が大きくなってきました。今後、必要なものはますますネットで購入するようになり、個人の時間の使い方や働き方は変貌していくと予測され、今以上に「情報」が価値を生むようになると考えられます。

IT技術の進化による情報革命は、人々の脳の意識を変え、ライフスタイルを変え、社会の構造を変革しています。

情報革命により、「お金」を中心とした資本主義から、「商品価値」を中心とした社会に移りはじめ、お金を媒介しないパワーシフトが起きてくるのかもしれません。

何処でも誰でも情報を手にし、便利で合理的なライフスタイルになっていくと、お金の価値が変わってきます。情報革命がもたらす「価値」を中心とした社会は、これまで私たちが目にしたことのない景色を見せてくれるのかもしれません。

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