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コラム

第206回

「経営=変化適応業」

過日、九州の宮崎の繁華街にある百貨店や商店街、そして、イオンショッピングモールを訪ねました。

宮崎の街では見かけなかった若者たちが、街の中心地から少し離れた巨大なイオンショッピングモールを楽しそうに闊歩している姿がありました。

最近、巷で「ヤンキー経済」や「ヤンキー消費」といった言葉をよく聞きます。「不良」ではなく、地元志向が強く友人や家族との絆を重視し、活動や関心の範囲はとても狭いが、幸福度は高く、消費意欲も旺盛な若者たちのことです。

ITへの関心やスキルは高くなく、子供の頃からの友人達と永遠に続く日々を求めるマイルドなヤンキーたちは、地方都市に多く存在しているといわれています。
都心で暮らしている高感度の若者たちは、スマホやSNSなどに生活時間の多くを費やし、人間関係を維持していくためにお金を使い、物を買わない傾向にあるようです。

ところが、地方都市にいるマイルドヤンキー達は、クルマやショッピングモールで買い物にお金を使う物販の主役たちとして、注目を集めています。
こういった宮崎のマイルドヤンキーたちが、頻繁に出入りして多くの時間を過ごしているのは、巨大なイオンショッピングモールでした。

9月24日、消費者の夢を背負い日本の流通革命を起こした業界トップ企業だったダイエーが、イオンの完全子会社となるとの発表がありました。
東日本大震災が起こった2011年あたりから、ますます人々の意識もお金の流れも変わり、駅近くにある総合スーパーダイエーの大半が、生活者のライフスタイルには合わないビジネスモデルとなってしまいました。60年に渡って親しまれたダイエーブランドが、2018年に消えることになります。

ダイエーを傘下に収めたイオングループは、四日市で1758年に創業し、今ではグループの従業員は40万人、8兆円を超える巨大グループに成長しています。

イオングループは生活者の変化を捉え続け「イオンに行けば何でもあり、一日中楽しく過ごせる、マイルドヤンキーが集う街のコミュニティー」となって、都会にはない、地方独自の新しい経済圏と文化をもたらしています。

一方、Eコマースの巨人、アマゾンの売上高は8兆1,500億円となり、日本のネット販売額は、13兆円に達したといわれています。現在、アメリカ全体の小売りの30%がEコマースの売り上げとなっており、日本が現在の10%から、今後30%までシェアが拡大すると、28兆円がネット市場に流れることが予測されます。

日本も世界中も、脅威を感じるスピードで人々の意識もお金の流れも変り、想定を超えた産業構造変化の動乱期に入ったのかもしれません。

いつの時代も、強いものが生き残るのではなく、変化に適応した企業のみが生き残っています。巨大になったイオングループがダイエーの二の舞にならない為には、常に新しい小さな変化を捉え、挑戦を恐れず変革の物語を創っていく企業内起業家達の創生にかかっています。

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