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コラム

第216回

「おもしろおかしく生きた堀場雅夫さん」

「おもしろおかしく」を社是として、自動車の排ガス測定装置で世界的な企業を育て上げ、早々に社長を譲り経営を見事に引き継ぎ、その後は多くの起業家を支援し、ノブレス・オブリージュに生きた堀場雅夫さんが、7月14日90歳で旅立たれました。

2009年9月にご来社いただいた際、「あんたの部屋、障子までわしの部屋とそっくりやな~。これまで30年以上ベンチャーの起業家を支援してきたが、シリコンバレー型ベンチャー投資ではなく、大企業から新規事業を分離独立させるあり方が、日本ではうまくいく。あんたのやっているインキュベーションのやり方は、わしの考えと一緒だ、アグリーや!」と、エールを頂きました。

起業家を支援する時に何を基準にするのか尋ねた際、「起業家は人間性が大事。チャラチャラした人、お金儲けが目的の人は、絶対にうまくいかない。

一回性という考え方がある。世の中、同じことは絶対に二度と起こらない。その瞬間、瞬間一回限り。いま、この瞬間を大切にしていること。人は、どういう発想や思想で生きているかによって90%物事が決まる。

人生は一度きり、今この瞬間を楽しく生きて、自分が好きなこと、おもろいと思うことにチャレンジし、フルスロットルで走れば、自分が想像していた以上のスピードが出る。そうすれば、世界で戦える。自分の力を信じることだ」との言葉が印象に残りました。

最近は、「これからは農業ビジネスがいい。もっと付加価値を出せばもっと面白いビジネスに育つ。みんな人口減少で大変だといっているけど、今の半分くらいでちょうどいい。住まいは、好きなところを選べて広くなるし、エネルギーも半分でいい。死ぬまで働けば、今のような医療費も介護費もいらない。ピンピンコロリが、家族も本人も幸せだ」と、通説にとらわれず語っておられました。

いつも軽妙で機知に富んだ語り口調で、人生観、世界観、事業観、経営観、起業観を明るく前向きに語り、人は皆毎日を「おもしろおかしく」生きた方が良いと信じて生きた堀場さん。

堀場さんと出逢え、勇気と希望を頂きました。合掌。

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