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コラム

第132回

「老いても、なお」

戦後70年、たったの70年で、その間災害や恐慌等でかなりの打撃も受けたけれど、日本は目覚ましい復興や発展をとげ、いつのまにか平和なご長寿の国となった。

日本の文化や伝統や食や研究が世界中で評価され、魅力的な国となっていると思う。しかし、少子高齢化間只中の国である。しかも、総子化の国である。

総子化といわれている理由は『大人であっても子供』の人口が増えているからだ。未成年人口に、親が健在の成人人口を加えた現在の日本の総「子供」数は8,700万人。同時に、親を看取るまでの親子共存年数も60年と長期化。多くの人が人生の3分の2以上を息子・娘として過ごす時代を迎えているのである。これを総子化という。子供でいる時ばっかり続くということである。

同じ子供でも、親の財産で何不自由ないという人は別にして、親の扶養や介護で青年期から壮年期を親の為に生きる事が人生になっている人も多くなっている。

しかし、この際、子供としての環境に恵まれていようがいまいが、長寿社会では、老いてなおの生き方を想定したほうがいい。心の準備、基礎体力の強化の為である。

長く生きるという事は、心が折れかける事にいくども遭遇せざるを得ないからだ。生きていれば老化が進むのに、それを遅らせる為に日夜研究が進んでいる。自然に逆らう事に疑問を感じる時もあるが、とはいえ時代には逆らえない。これからもっと、もっと生存させることが可能になっていくのである。

ということは、老々親子用の住居を考えていくしかない。介護や医療が24時間体制で活用でき、近隣との連携もとれる安心のコミュニティーがある住宅である。いい案ではないかと知り合いの施設の人に話をしたら、事情はそれぞれだが現状の介護施設においても親子入居はすでに始まっていた。

この時代に、そんな今更の案かと逆に驚かれた。すでに事は足元まできていたのだ。

いずれにしろ、特に中高年チルドレンの方は、本気で人生設計を見直してもらいたい。親離れ、子離れを上手にする設計である。ある程度の事案を想定した上で、自分の人生を自分なりに快適に生きる道を探しておくべきなのである。

其の為には、どんな、「超」高齢者になっていたいかをイメージして欲しい。人生において、60歳や70歳ごときで、あがりではなくなったからだ。

例えば、時々お目にかかるダンディでスマートな大学教授の方は、TPOに合わせてファッションを決めていらっしゃる。立居振舞もトークもおしゃれで、なにより紳士である。

スーパーシニア?クールエルダー?って言うの?どうせ、長生きしていくのならば、あらゆる困難に遭遇しても、より素敵な自分を創造していくほうがいい。

この方のように格好いいシニアが増えていけば、次世代のシニアに受け継がれて日本が「不老」長寿の国と羨望される日が近づくのだ。超高齢化社会の老々入居、介護の国ではなく、ずっと子供でいるという意味でもない

「不老」長寿の国として。

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