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コラム

第240回

「4億人のスタートアップ起業家」

今、世界では、史上空前の4億人ものスタートアップ起業家が生まれ競い合っています。

1995年~2006年、戦後最大のスタートアップ企業が創生された時代がありました。グーグル、アマゾン、アップル、アリババ、テンセントをはじめとする新興企業が、それぞれの国や人々に大きな富をもたらしています。世界をリードするグローバル企業はこの時代に生まれています。

日本においても、この頃、多くのベンチャーが誕生しました。しかし、時代の寵児として注目され、時価総額7,900億になったライブドアのホリエモンこと堀江社長や、村上ファンドの村上社長が逮捕され株式市場が大混乱に陥り、新興ベンチャー全体のイメージの悪化と共に、ベンチャー企業は力を失いました。

2000年には203社が上場しましたが、2009年に19社まで落ち込み、ベンチャー情報誌まで廃刊に追い込まれる事態になってしまいました。

保守派の大手企業の重鎮たちは、Tシャツ姿のベンチャー起業家を冷ややかな態度で受け入れず、戦後最大のスタートアップ企業に水を差し続け、起業家が激減しました。
この頃、日本の株式の時価総額は、550兆円前後でした。現在、ほとんど変わっていません。一方、米国ではほぼ同様の時価総額が5倍に成長し、2,500兆円を超えています。世界の時価総額は76兆ドル(8,500兆円)となり、アップルやアマゾンといったIT企業が国を牽引し、2008年の金融危機前の75兆ドルを上回っています。

また、米国のスタートアップ起業家への投資額は7兆円を超え、多くの起業家が誕生しています。一方、日本では2,000億円程ですが、その半数はシリコンバレーの起業家達への投資といわれています。

ライブドア事件から、11年が経ちました。この間、米国も中国も新興企業の成長が国の成長を牽引してきました。アップルの時価総額80兆円、グーグル70兆円、中国アリババ40兆円、テンセント35兆円(7月時点)となっています。
現在の世界の時価総額の上位企業の大半は、新たな技術革新スタートアップ企業で、古い企業は存在していません。日本においては、トヨタ、NTTといった企業群が変わらずに上位に名を連ねています。

今年3月14日、サンフランシスコで世界一のスタートアップ企業を決める「Startup World Cup 2017」で、世界14カ国を勝ち抜いたスタートアップ起業家との優勝争いの結果、日本代表のユニファ株式会社が優勝しました。 

ユニファは、優勝投資資金1億円を得ると同時に、著名な投資家など世界の大手企業との繋がりを得て、世界進出への足掛かりを掴むことができました。世界から日本のスタートアップ企業がさらに注目を浴びる追い風となることが期待され、ここ10年間、世界の最下位にいた日本のスタートアップ市場に、勇気を与えた嬉しい出来事でした。

7月27日、当社の銀座オフィスで、世界の代表と競い合い勝ち抜いたユニファの土岐社長から、東京501会にて講演いただきました。これからの世の中を変える予兆を感じたスケールの素晴らしい内容でした。

世界大戦で壊滅的な打撃を受けた日本は、起業家精神旺盛な多くのスタートアップ企業の勃興によって、世界で類の無いスケールと速さで、豊かな国になりました。1995年から訪れた絶好のスタートアップ起業機会を逃し、起業家精神は薄れ、日本の開業率は最下位に落ち、失われた20年といわれ世界一の債務国になっています。

日本が活力を取り戻してゆくには、世界に通じる起業家が一人でも多く誕生し、新しい産業を興していくことにあります。

今回の「Startup World Cup 2017」で、ユニファが優勝したことで起業国家への火種が拡がり、一人でも多くの人に起業家精神が芽生え、起業家とそこに加わる人たちが増大することを期待したいと思います。

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