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コラム

第78回

「女脳で想像し、男脳で創造する」

古今東西、男女の考えの違いから起こる問題の解決は、結局どちらかの妥協でしかない。と私は思っている。そもそも、考えというのは、脳の構造が絡む。分かり合えるはずがない。もとが違うのだから。

例えば、女性は、行動とまったく違った事を同時に考えられる。賢い男性の中には、常に今から数分先を考えているという人がいるが、女性脳は、同時進行形で動いている。

例えば、食事の支度中に、友人から電話がかかってくると、料理の段取りを考えながら、真剣に話を聞く、テレビの気になるニュースも見逃さない。そこに子供が帰ってきてすぐに外に出ようとでもしたら「宿題はやったの?」と声をかけるくらいはやってのける。

だからといって男脳が単細胞ということではなく、男の場合、具体的なターゲットや目標に向かって一心不乱に立ち向かえる集中力があるし、陣地を広げる為の、戦略、戦術を組む能力、組織を構築するためのルール作り、それを守る強靭な精神力等は長けている。

また、女性脳は、物語を想像する力が強いそうだ。シーンをイメージするという事か。シナリオを描けるということか。嘘が上手いということではないと思うが。

なんて事をしみじみ思っている日に、株式会社アイ・キューブの女性社長、広野さんと久しぶりにお話する機会があった。

アイ・キューブは生活者の目線で商品開発をサポートする。というと簡単に聞こえるかもしれないが、その裏付けを取るのだから、熟練されたプロ集団でなければ無理な専門分野の仕事である。

独立されて今年で10年を迎えられたが、独立前から私たちが日常で、便利に使わせて頂いている商品の開発をいくつも手掛けてこられた。

初めてお会いしたのは5年ほど前だろうか。シャープな中にも、優しさと愛らしさを持つ素敵な女性だったので、このお仕事に相応しい方だと納得したのを思い出した。

話が弾んだついでに、気になっていた女脳の話をしたところ、なんと、彼女が大事にしているのは、一つの商品を生むまでの物語だという事を知り、女性脳説を確信した。

商品企画の際、必要とされるシーンになる経緯があり、そこにはかならず物語があるというのだ。赤ちゃんがお釜で火傷しないように、手の届かないところに置くのではなく、万が一赤ちゃんが触ったとしても、母親が慌てなくて済むように、狭いところに置きっぱなしでも大丈夫なように。

だって、ご飯時は一度にやることも多いので、注意にも限界がある。でも家族には、炊き立ての美味しいご飯を食べさせたい。

お肉や魚も新鮮さを保ちたいので冷凍にしておく、でもいきなりお腹をすかして帰ってくる家族の要望に応えるためには、すぐに切れる冷凍がいい。と、イメージするとか。

ことごとく、便利な家電や雑貨には、多くの女性脳の想像力から発想されたものが多かったのではないだろうか。

そういえば、老舗の陶器店で、重ねても絵になるという気の利いたモダンなお皿のセットを見つけた時「これは、女性デザイナーの発案(ですから)」と説明されたのを思い出した。

こういう流れで、女性が想像する物語から生まれた事を、創造力の男脳を生かして世の中にデビューさせていくという構造が理想的に思えてきた。

そもそも、男脳と女脳、それぞれの持つ要素を上手に融合できてこそ、本来の問題解決に繋がるのではないだろうか。「もうわかったわ、あなたの言うとおりにしてください」とか「君の思うようにすればいい」等という、不満だらけの妥協案でなく、「そういうところに気が付くのが素晴らしい」「そうやって頂けたら、更にいい結果が生まれます」という和やかな結末にしたいものだ。

まあ、そもそもの構造が違うので、簡単にはいかないのかもしれませんが。 

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