column

コラム

第91回

「馬鹿の力」

面白おかしく楽しい人生を過ごすためにある秘訣がある。「馬鹿の力」を借りるのである。

まず、馬鹿にされる事を恐れないことだ。叱られたり注意されたりした時に素直に反省し、すぐに謝る。解らないことは、すぐに聞く。自分の言葉で、自分の意見をいう。

そもそも、人は、あらゆる意味で優位にたっている人に対して同意を示すことはあっても、心の中まで同じようには考えられないものだ。個人個人、意見や見方は違って当たり前なのである。

なので、楽しく生きる為には、人の意見に惑わされないことである。もちろん、自分も他人様に、必要以上の干渉をしないことだ。中途半端に気にすることで、しなくてもいい腹立ちを覚えるのは損である。

人とつきあう秘訣も同じだ。付き合う上で大事な事は、個人個人の良いところを認めることであると私は思っている。

ただし、これは意外と難しい。自分を賢いと思ったら、大きな罠にはまる。誰でも自分の力は信じたいし、そこは信じなければ生きていけない。しかし、謙虚な心で自信を持つというのも、なんのこっちゃ?とわかりづらい。

要するに、簡単にいうと、馬鹿の力を借りる事なのだ。つまり、己の弱さを自覚することなのである。

経営にも馬鹿の力は役立つようだ。老舗の大手外食チェーンの経営者の方と、経営者の持つ力について語り合った時のこと。「人間力、質問力、説得力、様々な力があるよね、鈍感力とかもあるね。でも俺には馬鹿の力があるからさ」と誇らしげに言われた事を思い出した。

私も馬鹿の力には自信があるということで盛り上がったが、私と違い、その方の馬鹿力は、本当の意味での大きな力である。

数万人を雇用し、数千億円の売り上げを維持し、社員や株主に愛されている。それが可能なのは、自分の商品を信じ、部下を信頼しきって任せる力があるからである。会社を守るために、矢面に立たされても笑い飛ばせる力があるからである。

多くの大物経営者は、思いもよらぬ試練にあわれているものだ。利益をおびやかす駆け引きもあれば、裏切りもあれば、見込み違いもあれば、天変地異もあれば。世の中、何が起こるか、されるかわからない。

しかし、めげることなく、信じて託す事ができるのは、本当の馬鹿力なのだ。周りに何を言われても、自分の信じる道を、愚直に突き進める力である。

馬鹿の力を活用して、楽しく生きましょう。賢い人ばかりじゃ世の中つまらないと思うのは愚かな私だけでしょうか。

コラムを毎月メルマガでご購読