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コラム

第32回

「企てを書くことから」

「ワンハンドレッドデイズ」という言葉を聞いたことはあるだろうか?「どんな新規プロジェクトでも、最初の100日間で明確な形を出せ」ということである。変化が激しく先の読めない時代の中で、短期間にスピーディーに結果を出さなくては次に進まない。

そのためには具体的に、まずはアクションを起こすことだ。机の上で迷い考えることはやめて、行動を起こさなければ何も始まらない。取りあえず、稚拙なまとめ方でもいいから、アイディアを企画書にして信頼のおける回り人達に思いを語ってみることをお勧めしたい。

そして、発見した目線やアイディアをどんどん取り入れてまとめていけばいい。自分の考え、コンセプトに固執していると、それ以外の選択肢を見ることができなくなることが多い。時々目にする事業計画書に、見た目は美しいがコンテンツが薄く、方向が定まっていない一人よがりのお絵かき企画書が多い。

人の心に届く企画書には、時間の隔たりがあり、多面的に検討された多くの人の声が聞こえてくる。たかが企画書、されど企画書。

時には、世の中を震撼させるきっかけを創りだし、大きな事業を生み出す。私は、年間200件近い企画書に出会い、判断した案件を起業家と共に事業インキュベーションしてゆく。

いい企画書に出会った日は余韻が残り、一目ぼれした女性に会ったようなときめきを感じてしまう。そして、思考の中にストーリーが生まれ、コンセプトを表現するシーンが見えてくる。

結果として勝者となった挑戦者たちは、日々の仕事の中で抱いたビジネスアイディアに対して「アクションを起こさなければならない」ことに自ら気づき、思いを企画書に描いた人達である。アクションを起こせなくしている心のブレーキを取り払い、「気づきの第一歩を企画書に落とし込んだ」のである。

アントレプレナー達は、あてがいぶちのレールでなく自分の意志で動き始める。「気づき」は、目から鱗が落ちる瞬間でもある。しかし、「気づき」の瞬間を手に入れるのも、それに伴ってアクションの第一歩として事業企画をまとめるのも、要は、自分の思いにかける意志の強さにある。そして、多様な人と論議するアクティブな行動は、起業におけるプラン構築には必要不可欠な手段である。

自己の夢や思いを形にする為の第一歩のアクションは、企てをしたためることからスタートする。

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