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コラム

第60回

「変革の世紀へ」

新たな年を迎え、皆さん今年はどんな「志」で望まれただろうか?
昨年は、株価8,000円台、金融再編、大手企業の経営破綻、ナスダック撤退、デフレ継続、拉致問題etc・・と21世紀の訪れは未だ閉塞感の中にあった。企業間においては、主役の座が入れ替わり、目前の変化を、ビジネスチャンスに捉えた起業家や、支援してゆく仕組みやインキュベータ-が数多く生まれた。 

昨年の年末12月20日ベンチャーリンクの小林会長が、突然業績不振を理由に辞任した。小林さんとは、20年来の知人でもあり、ベンチャー企業待望の昨今、彼が辞任することは、残念な思いである。

以前、互いのインキュベーションの在り方を議論した際、私とは違った視点からのアプローチに共感はできなかったが、小林さんが与えた社会へのインパクトは大きなものがあり、彼の残した実績を最後まで仕上げて欲しかった。

最近、至るところで行政を始め、民間組織でベンチャー支援が行われている。ベンチャー起業家やそのスピリットを醸成するというより、手っ取り早くインキュベート(培養)し、途中から、起業家の意志とは離れた利益を求める風潮や手段に走っていることが気になる。

本物の成功者達は、培養された企業(起業)ではなく、したたかで足腰も強く胆力を持って、自己責任で経営を推進する経営者と強いチームマネージメント陣によって構成されている。頑固な理念を持ち、少ない資金を積み上げ、夢と現実の狭間に苦しみながら問題解決の連続から社会に根ざしてきたからである。

ここ数年前まで、勘違いする投資や、過大評価を与え、本人の意志と違ったところでフィールドが膨張してしまうケースが数多く見受けられた。こういった一連のベンチャー企業の挫折や支援会社の衰退も、大手企業の失態も、共通した原因によるものと思えてならない。 

経営は、決断と実行の連続である。経営を掌るリーダーが、自らの理念で意思決定(決断)し、「すべての責任は自分にある」と心底思っていなければ、他人任せの経営者不在の経営になってしまう。今、多くの経営者が陥っている要因は、決断する経営陣不在であり、その基準値が不透明な状況にあるからだ。

未来社会は、ますます「真ん中に情報と知識」が存在し、「個人の存在や力」に注目が集まる。そして、それは同時に個人に責任が生じることでもある。

これからの経営は、指揮でなく「情報が変革の原動力」となっている現実に気づき「個々人が新たな担い手」となって表舞台に登場している事実を直視することにある。そして、パートナーのモチベーションが最高に良い状態を創造し、維持しなければならない。

変革の世紀の今、100年続いた組織概念でない新たな情報モチベーション組織で、2003年のスタートを切ってゆきたい!

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