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コラム

第64回

「リーダー福田実さん」

「変革イノベーション」が、時代のキーワードとなった。組織を変革するには、最も重要な要素はリーダーである。勝ちつづけている組織は、管理運営されてなく、リーダーによって導かれている。

桜が満開の4月14日ホテル新潟で、20年来公私ともに親しくさせていただいていた福田組社長の福田実さんの葬儀があった。

福田さんは、新潟のゼネコンのトップカンパニーとして、4,000億のグループのトップであり、新潟の経済界のリーダーでもあった。成熟した業界で、常に事業変革にチャレンジし業績を伸ばし、最近ではトヨタ生産方式を取り入れ、注目されていた。 

福田さんは、100年の企業体質を、変革スピリッツによって第三期創業として会社を大きく変革した。 福田さんの理念・ビジョンは明解で、シンプルな目標を設定し、公平な評価を取り入れ、解かりやすく説明するので、皆が安心してついてきた。

そして、常に競争より、早く環境に組織を適応さる変革者であった。ITを活用し、誰からもよく見える体制を創り、入院した病院からも亡くなる直前まで、自らメッセージを各位に送り問題に取り組んでいた。

仕事を管理するの経営者が多い中で、異彩な経営者だったかもしれない。また、「トップは日々、顧客からも、取引相手からも常によく見える存在でありたい、だから社長就任にあたってパーティでなく直接こちらから挨拶して回りたい」と現場を歩き回った。

以前、亀戸の複合商業施設のサンストリートを紹介した際、「誰がどんな思想でこの施設を創ったのか」と熱心に尋ね、そのプロデューサーと面談を私に求め、共に会食したことがあった。

福田さんは、いつも少しはにかんだ笑顔で、率直に、相手の知性に敬意を払い正直に意思表示していた。数年前、私が招待したミュージカルを観た後に論評してこられ、議論したことがあった。あいまいな表現や二枚舌は決して使わない福田さんに、真意を伝えることの大切さを学んだ。

そして、何よりも、リーダーは「情熱」が不可欠であり、毎日、部下や仲間を駆り立てることが大切だと、そして、勝たなければならない。「ビジネスは競争であり、実行には速いスピードと技量が必要だ。そして、組織として統一的に前進することだ。」と行動で示していた。

私にとって、親しい付き合いの間柄にも関わらず、緊張感を与える存在であり、自分のもっている上質の情報を伝えたくなる人であった。

尊敬するリーダーが去って寂しい。福田さんの蒔いた種とDNAを大切に育てていきたい。

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